2016 Fiscal Year Annual Research Report
有機修飾無機層間化合物による非イオン性有機化合物の選択的認識・捕捉機能の開拓
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26281036
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
亀田 知人 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60333895)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 層状複水酸化物 / 捕捉 / 芳香環の電子状態 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、芳香環同士に働く相互作用を利用して、層間に芳香族スルホン酸イオンをインターカレートしたMg-Al系層状複水酸化物(Mg-Al LDH)による水溶液中の芳香族有機化合物の選択的捕捉を検討する。 混合溶液からの芳香族有機化合物の捕捉を検討した。捕捉対象とする芳香族有機化合物として、1,3-ジニトロベンゼン(DNB)、ニトロベンゼン(NB)、ベンズアルデヒド(BA)、アニソール(AS)、N,N-ジメチルアニリン(DMA)、1,3-ジメトキシベンゼン(DMB)を用いた。各捕捉対象物質を混合で含む溶液(混合溶液)に有機修飾Mg-Al LDHを投入した。捕捉率は単一溶液の場合と同様にDMB<AS<BA<NB<DNBの順で大きくなった。単一溶液の場合と同様に、混合溶液の場合においても、捕捉対象物質の芳香環の電子状態に依存した、選択的な捕捉が可能であることが示された。 Mg-Al LDH層間に存在する芳香族スルホン酸アニオンの有する芳香環の電子状態が、芳香族有機化合物の捕捉に与える影響について検討した。捕捉に用いた2,7-ナフタレンジスルホン酸(NDS)、ベンゼンスルホン酸(BS)、ベンゼンジスルホン酸(BDS)は、(アニオン/Al)モル比、層間隙がほぼ等しく、これらの要素が捕捉に与える影響は無視できる。DNB捕捉率はNDS>BS>BDSの順で高くなった。それぞれの芳香族スルホン酸アニオンの芳香環の電子密度は、有するスルホ基の数からNDS、BS>BDSの順で小さくなり、芳香族性の強さを示す指標となるπ電子による共鳴安定化エネルギーは、ナフタレンで255kJ/mol、ベンゼンでは151kJ/molとなる。よって、電子密度が高く、π電子による共鳴安定化エネルギーの大きい芳香族スルホン酸アニオンをインターカレートしたMg-Al LDHほどDNBの捕捉率が高くなるということがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、混合溶液からの捕捉選択性、芳香環の電子状態の影響について、成果を挙げることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に記載した通り、平成29年度の研究計画を粛々と進める。
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