2016 Fiscal Year Annual Research Report
Development of marine microbial fuel cell assenbled dye sensitized TiO2 anode
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26281045
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
元田 慎一 東京海洋大学, その他部局等, 教授 (10190969)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
盛田 元彰 東京海洋大学, その他部局等, 助教 (30636626)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 洋微生物燃料電池 / 色素増感系薄膜電池 / スクリーン印刷法 / 交流インピーダンス特性 / 交流負荷特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、DSC を単体の太陽電池とするのではなく、海洋微生物燃料電池(Marine Microbial Fuell Cell,MFC) のアノード電極として組込むことで可視光領域の光エネルギーを利用し、かつ従来の Pt カソードを海水中のバイオフィルム電極に代替することで海洋微生物電池の大幅な出力向上を見込むことを目的とする。太陽電池においては変換効率の高い電池パネルの開発が進展しているが、中でも色素増感系薄膜電池(Dye-sensitized Solar Cell, DSC)光触媒を利用したものでは安定性や製造コストの面から最も着目されている次世代型の電池である。そこで本研究では、まず色素増感電極の微生物電池アノードとしての組込を検討した。アノードであるスクリーン印刷機と導入したディップコーターを用いて 二酸化チタン皮膜を用いたDSC アノードの開発を行い、色素沈着分布の最適化と特性測定を行う。次に電極の表面解析を行うと共に、導入した分光放射計で自然光におけるスペクトル依存特性の把握、ならびに動的負荷による耐久性を測定して実用性を検討する。これをMFCアノードとして組込んだ電池モジュールの試作を検討する。以上の内容により、28 年度には国際会議発表2件(Shin-chi Motoda,Sho tamura,Motoaki Morita:Abstract of 230th ECS, Hawaii 2016)ほか)を行った。来年度は、太陽光照射における分極特性ならびに長期発電特性の把握、耐久性評価、ならびに動的負荷特性を流動海水中で測定して実用性を検討すると共に、電極の交流インピーダンス特性、バイオフィルムカソードと組み合わせた電池の交流負荷特性を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
海洋環境と太陽光を利用したエネルギー発生システムとして微生物燃料電池(MFC)の1つであるバイオフィルムバッテリーの性能向上を目的に、研究室での従来の研究ではバイオフィルム付着による金属の電位貴化現象をカソード電極に利用し、光触媒効果による酸化チタン被覆金属の電位卑化現象をアノード電極に利用したMFCを検討して来た。本研究では、高い光触媒効果を有する二酸化チタン電極を開発するため、以下の方法で電極の皮膜形成方法の検討を目的として研究を行った。 まず、二酸化チタンの光触媒特性を向上させるために、Ru色素を担持した電極と酸素欠陥を制御した電極を作製した。作製した全ての電極を用いて光電位の計測を行った。同法による均一な皮膜は電極基材の腐食を抑制し二酸化チタン電極の光電位の安定性を向上させた。さらに、スクリーン印刷法を用いて作製した二酸化チタン電極は、1ヶ月間の流動海水環境での実験で腐食が発生しなかった。色素担持にはディップコーティング法と浸漬法の2種類の方法を検討し、両方法で色素を担持することができた。しかし、120分間の計測で色素の脱離が生じ、色素による光電位の向上は得られなかった。二層に積層した二酸化チタン皮膜の酸素欠陥を制御するには、二層目を焼成するときの温度を制御することが有効である。また、皮膜焼成後の熱処理は酸化チタン中の酸素欠陥量を表すO/Ti値に大きな変化は見られないものの光電位を卑化させた。このような結果から、Ru色素を担持するヒドロキシアパタイト中間層の効果について検証を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の検討を受けてDSC組込型微生物燃料電池のセル電極および電池モジュールの実用試作に着手する。ステンレス鋼カソード電極とDSCアノード電極との組み合わせでは電極間距離を可能な限り短縮し、かつ有効電極面積を最大にするため検討した対面スタックのモジュール構造とする。そのために前述のスクリーン印刷技術を利用し有効電極面積の増大を目指す。また分光分析器を用いた太陽光模擬波長の最適化を行い、その結果をソーラーシミュレータに反映させて色素増感二酸化チタンの最適吸収波長を決定する。また、表面状態の不均一部位の排除が電極特性改善の一つの方法である。同手法を検討することで広帯域となるDSCアノードの出力安定化にも寄与する。このような技術開発によりカソード・アノードの電気化学的電極特性を調べDSCアノードとバイオフィルムカソードの組込下において半導体被膜と微生物被膜の相互作用による反応機構を構築・検証する。さらに太陽光導光装置ならびに太陽電池評価システムを用いて、太陽電池DSC電極の特性評価を行うと共に、バイオフィルムカソードを組込み、MMFCとしての出力特性評価を行う。前者にはC-V(Cyclic voltammetory)測定を、後者にはI-V(Current voltage)測定を行えるシステムであり、C-V特性では、交流インピーダンスの測定結果から電池モジュールの等価回路推定を行い電極によって生じる誘導成分や直列/並列抵抗性分の分離評価を実施して回路負荷特性を明らかにするとともに、測定データを発電シミュレーションに提供する。以上により太陽電池DSC電極と微生物電極で構築される電池の発電効率を算出しモジュールの概念設計を行う。さらに平板電極をセル対面スタック構造とすることでモジュールとして発生電力密度の向上を期す。
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Causes of Carryover |
端数計算のミスによるもの。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
29年度直接経費と合わせて使用する。
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