2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26281054
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 英志 東北大学, 環境科学研究科, 准教授 (90312652)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田路 和幸 東北大学, 環境科学研究科, 教授 (10175474)
横山 俊 東北大学, 環境科学研究科, 助教 (30706809)
下位 法弘 東北大学, 環境科学研究科, 准教授 (40624002)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 低炭素社会 / CIGS太陽電池 / 水溶液中合成 / 塗布 / ナノ粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
気相法など従来のCIGS(Cu(InGa)Se2)太陽電池合成法には、均質化が困難、形成時に必要量の数10倍以上の原料を浪費する、量産に不向き、など実用化上の大きな障害があった。一方、我々は、挑戦的萌芽研究にて、世界で初めて、CIGS太陽電池の基礎となる均質なCu-In (CI)合金ナノ粒子を常温の水溶液中で合成することに成功した。そこで本研究では、計算科学を利用した金属錯体の単一化/平衡状態維持と還元反応速度(電位)の強制一致手法を、三元系(CIS)/四元系(CIGS)の均質単結晶合金ナノ粒子を合成するための手法に拡張し、合成したCIGS合金ナノ粒子を用いて、“塗る”という極めて簡単な操作でCIGS太陽電池を形成する技術を開発することを目的とした。 その為に、まず、錯体均質化による還元析出手法の開発を試みた。即ち、錯生成定数を用いて計算予測し、溶液中の各種金属錯体を単一化若しくは複核錯体化可能な条件を探索し、溶液中での平衡の維持、且つ金属元素-配位子間の結合強度(生成定数とpHに依存)の制御、を同一溶液中で行う。金属錯体の存在状態や還元挙動は、ESI-TOF-MS、電気化学測定、などにより明確化した。 上述の手法で合成したCI合金ナノ粒子をH2Seガス雰囲気下に曝し、反応場温度と熱拡散時間を制御することで、Se化しCIS合金化することを試み、Se化が可能であることを明らかとした。 作成したCIS膜を太陽電池化し、起電力を発生しうることを確認するとともに、高効率化するための要素について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
水溶液中で金属錯体を単一化すること、その条件を用いることによって初めてCu-In合金粒子を合成可能であること、合成した粒子を塗布しSe化することで太陽電池化が可能であること、など、基礎となる技術は順調に開発され、相関を明確化している。
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Strategy for Future Research Activity |
塗布でCIGS太陽電池を合成する技術を確立するために、以下の二課題を検討する。 CIGS四元系合金ナノ粒子合成手法の開発:均質単結晶CIGS合金ナノ粒子の合成:現有技術(CI合金ナノ粒子)及び平成26年度に開発した技術(CIS三元系合金ナノ粒子)を更に拡張させ、均質単結晶CIGS合金ナノ粒子の合成手法を確立する。前年度の結果に依存するが、水溶液若しくは気相法を利用することでSe化は比較的容易に進行する可能性がある。即ち、CIS三元系からCIGS四元系に展開するより、CIG三元系からCIGS四元系に展開する方が容易な可能性も考えられる。従って、平成27年度はCu-In-Gaの三元系合金ナノ粒子の合成手法の開発を検討する。本手法では、CIS系の第一課題と同様に、錯生成定数を用いた計算予測手法を用いて溶液中の各種金属錯体を単一化若しくは複核錯体化可能な条件を探索し、溶液中での平衡の維持、且つ金属元素-配位子間の結合強度(生成定数とpHに依存)の制御、を同一溶液中で行う。金属錯体の存在状態や還元挙動は、ESI-TOF-MS、電気化学測定、放射光を利用したX線構造解析、などにより明確化する。 (担当:高橋、田路) 塗布するだけでCIGS太陽電池を合成する技術の構築:上述の技術開発により合成されたCIGS合金ナノ粒子を塗布することで太陽電池を合成する。塗布という簡単な手法を用いる事で、曲面や大面積、微細部位、など様々な個所で太陽電池を構成させることが可能となる。しかしながら、反面で、ナノ粒子を用いる事により、粒子間の界面部位における断絶や抵抗が、特性低下の原因となる事が予測される。そこで、従来の塗布技術と共に、塗布後に水素雰囲気下でプラズマ照射を行うなど、接点における抵抗を低減化するための技術開発を行う。これらを系統的に行う事で、CIGS太陽電池を塗布形成する技術を構築する事を達成する。(担当:高橋、横山)
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Causes of Carryover |
次年度以降に、計画的且つ効率的に研究を進展させるため、基金に該当する資金の一部を繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は、研究の更なる進展のために、研究室内では使用できない装置(放射光等)を用いる。更に、本技術を広めるために、国内及び国際会議に積極的に参加することを計画しており、繰り越した予算を利用する。
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Research Products
(5 results)