2014 Fiscal Year Annual Research Report
きのこ栽培を循環システムに組込むことによる農地のカリウム過多解消と島内経済活性化
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26281058
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Research Institution | Kagoshima National College of Technology |
Principal Investigator |
山内 正仁 鹿児島工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (40239843)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 雅史 鹿児島大学, 農学部, 准教授 (00305161)
中西 良孝 鹿児島大学, 農学部, 教授 (30198147)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 黒糖焼酎粕 / 発酵バガス / アラゲキクラゲ / 機能性 / カリウム削減 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、奄美諸島の食品廃棄物であるバガス(発酵バガス)、黒糖焼酎粕を用いてきのこ培地を調製し、アラゲキクラゲの栽培試験を実施した。その結果、これらの材料はきのこ培地に利用可能であり、両材料の相乗効果により、従来培地よりも効果的にアラゲキクラゲを栽培できることがわかった。また、発酵バガス・黒糖焼酎粕培地の最適配合率を検討し、発酵バガス85%、黒糖焼酎粕10%(何れも乾物重量%)であることがわかった。さらに、発酵バガス・黒糖焼酎粕培地で栽培したアラゲキクラゲは従来培地で栽培したものと比較して食物繊維、β-グルカンが多く、地域特産品としての付加価値を有するものと考えられた。またきのこはカリウムを多量に吸収する特性があることから、黒糖焼酎粕由来のカリウムを培地から41.8%削減できた。このことから、黒糖焼酎粕の農地還元による土壌の高カリウム化を抑制できることが示唆された。さらに廃培地の飼料特性を調査した結果、発酵バガス・黒糖焼酎粕廃培地は、従来廃培地よりもリグニン、ADF、NDF含有量が少ないことから、家畜消化性は高いものと推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
26年度の研究実施計画に示した3項目全ての研究に着手した。特に奄美諸島から食品廃棄物のバガスを発酵させた発酵バガスと黒糖焼酎粕を組み合わせた、アラゲキクラゲ栽培用培地を調製し、従来培地で栽培したものよりも付加価値の高いきのこを生産する技術を開発した。本方法については特許を申請した。また、黒糖焼酎粕をきのこ培地の栄養材として利用することで、黒糖焼酎粕由来のカリウムをきのこへ効率良く移行させることができ、黒糖焼酎粕の農地還元による土壌の高カリウム化を抑制できることが示唆された。このように、予定通りの成果を得ていることから、概ね順調に研究が進展していると考えた。
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Strategy for Future Research Activity |
上述した通り、26年度は当初研究目的をおおむね達成することができたので,27度以降も計画通りのペースで研究を遂行していく方針である。具体的には以下の通りである。(1)26年度に得られた発酵バガス・黒糖焼酎粕培地の最適配合条件でアラゲキクラゲの栽培試験を行い、その過程で発生する廃培地の飼料特性の評価および家畜を用いた飼養試験を実施し、廃培地の飼料利用可能性を検討する。(2)26年度に引続き、黒糖焼酎粕添加区と無添加区でサトウキビの栽培試験を実施し、茎の蔗糖合成能力に関する学術的知見を得る。(3)きのこ栽培施設から発生する高濃度炭酸ガスの施肥技術を開発し、作物の高付加価値化を目指す。
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Causes of Carryover |
本来ならば、26年度中にきのこ栽培過程で発生する廃培地の飼料分析を実施する予定であったが、残額の14383円では各種分析用試薬の購入および分析が困難であったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
27年度は、前年度の繰越金を本年度の配分額に加え、廃培地の飼料分析費に充てる予定である。
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Research Products
(2 results)