2015 Fiscal Year Annual Research Report
サプライチェーンを通じた資源利用と環境影響の解析と資源利用の高度化・高効率化研究
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26281059
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
中島 謙一 国立研究開発法人国立環境研究所, 資源循環・廃棄物研究センター, 主任研究員 (90400457)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤森 崇 京都大学, その他の研究科, 助教 (20583248)
三木 貴博 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30312606)
松八重 一代 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50374997)
竹田 修 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60447141)
林 英男 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 技術開発支援部高度分析開発セクター, 主任研究員 (10385536)
富田 誠 東海大学, 教養学部, 講師 (50631826)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ライフサイクル評価 / 物質フロー分析 / リサイクルとLCA / 金属 / 資源 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、『サプライチェーンを通じた資源利用と環境影響の計測・解析方法』の確立を目的として、枠組み設計に加えて、事例研究を通じて、持続可能な資源管理のための技術開発課題、システム開発課題を抽出する。事例研究では、エネルギー技術等の導入・普 及に伴い世界各国での需要拡大が予想されるニッケル等とその随伴元素を含めて物質管理を論じる。平成27年度の研究実績の概略は以下である。
・統括: 3つの特性情報(物質の資源性・有害性特性、プロセス特性、物質フロー・サプライチェーン特性)を踏まえて資源利用の高度化・高効率化技術の選定を進めた。また、ニッケルのライフサイクルに係るステークホルダーとの意見交換・情報交換を実施した。更に、効果的な情報発信のためにインフォグラフィクスの作成および物質フロー・サプライチェーン情報の動的可視化ツールの作成に関する検討を進めた。 ・物質・プロセス解析Gr.: 解析に必要となる情報収集を継続して進めると共に、元素の分配挙動の解析および資源の回収可能性の検討を実施した。更には、物質の化学状態の解析として、各サンプルの逐次抽出法およびX線吸収微細構造法による分析と共に、サブスタンスフローに関する情報と統合することで、フェロニッケル製造工程の中心としたニッケルの「化学形態フロー」のプロトタイプを作成した。 ・物質フロー・サプライチェーン解析Gr.: ニッケル・銅・りん等の物質フロー・サプライチェーン構造を明らかにするとともに、日本の産業構造と国際サプライチェーンを接続した解析を実施した。率化に資する技術・システムの事例収集を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
物質フロー・サプライチェーンに関する基盤情報については連携している他プロジェクトとの情報共有と情報交流を進めることで、より効率的な成果の抽出につながった。ただし、環境影響情報の接続については、当初予定していた分担者の異動に伴い計画を縮小せざるを得ない状況が生じている。
最終年度においては、より一体的な成果をだすために、事例としては、特に、ニッケルとその随伴元素を対象とした解析に注力することとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
以下の役割分担のもとで、研究を推進する。また、一体的な成果の出力を意識して、特に、ニッケルとその随伴元素に着目して解析と検討を実施する。
<統括> 3つの特性情報(物質の資源性・有害性特性、プロセス特性、物質フロー・サプライチェーン特性)を踏まえて、持続可能な資源管理に向けた課題抽出および提言をまとめる。加えて、資源利用の高度化・高効率化に向けた具体的な検討として、ニッケルを含有する静脈資源等を取り上げて、循環利用の障壁や改善策を提示する。さらに、効果的な情報発信のためのツールとして、グラフィックデザイナー・コード開発者を交えて、動的な可視化ツールの作成および効果的なインフォグラフィクスの作成に取り組む。 <物質・プロセス解析Gr.> 基幹プロセスにおける元素の分配傾向および回収可能性、ライフサイクルを通じた物質の化学状態フロー、そして、資源の散逸形態等に関する解析・精緻化と検証を実施する。分配挙動の解析については、模擬実験による検証(例えば、フェロニッケル製造におけるPの分配)なども検討する。これらの結果をもとに、静脈資源の循環利用の促進など、資源の散逸を低減するための技術改善を含めて、回収技術および適正管理・処理技術の検討を行う。 <物質フロー・サプライチェーン解析Gr.> 物質フロー・サプライチェーンを解析することで、サプライチェーンを通じた資源利用、資源利用に伴う環境影響(土地改変量など)、さらには資源の散逸の可能性を明らかにする。これにより、日本を含めた世界全体での資源需給動向の変遷、資源利用の拡大に伴う課題を抽出すると共に、静脈資源のリサイクルを含めた資源利用の高度化・高効率化の観点から改善策の検討を行う。加えて、これらの事例研究を通して、計測・解析手法の枠組みを詰めていく。
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Causes of Carryover |
旅費について、当初予定していた海外出張の支出を見送ったことに加えて、消耗品等について、検証のための実験等を最終年度に見送ったことに起因して、残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額については、元素の分配挙動のモデリングおよび解析に要する熱力学解析ソフトのライセンス料に加えて、検証のための実験に要する消耗品の購入費用等として利用することを想定している。また、最終年度ということで、更なる成果の出力と成果の発信に努める計画であり、学会参加のための旅費(国内および国外)、論文化のための費用等としての利用を予定している。
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