2014 Fiscal Year Annual Research Report
褐変反応生成物の分子的研究 新たな低分子色素ならびに前駆体の同定と褐変機構の提唱
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26282016
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
村田 容常 お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 教授 (60210051)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺沢 なお子 金沢大学, 人間科学系, 教授 (00227513)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 食品 / メイラード反応 / 褐変 |
Outline of Annual Research Achievements |
褐変反応は、食品の加工調理貯蔵上重要な反応であるが、その反応生成物についての化学的解明は進んでいない。近年申請者は、反応条件をコントロールすることで低分子色素が形成されることを見出している。本研究では、褐変反応生成物を分子レベルで明らかにすべく、メイラード反応による新規な低分子色素を同定し、また新たな前駆体を同定し、新規な褐変機構の提唱を行なうことを目的にしている。キシロース・リジン系のメイラード反応の研究中にUV吸収(285 nmに極大吸収)を持つ主要生成物質を見出した。本物質は濃縮段階で重合褐変が認められ、褐変の前駆体である可能性が示唆されたため、本物質を単離・同定することとした。溶媒抽出後、濃縮することで結晶を得ることができた。本物質をNMR、MS、X線結晶構造解析に供した結果、本物質を4-hydroxy-5-methyl-3(2H)- furanone (HMFO)と同定した。また、システイン・グルコース系メイラード反応から黄色化合物を得ることができた。各種機器分析の結果6-hydroxy-3[R],7a[S]-dimethyl-7-oxo-2,3-dihydropyrrolo[2,1-b]thiazole-3-calboxylic acidと構造を決定した。本色素は新規なカルボキシル基を有する新規なpyrrolothiazole 誘導体であったためd pyrrolothiazolateと命名した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
五炭糖のメイラード反応の褐変中間体と考えられる4-hydroxy-5-methyl-3(2H)- furanone を同定したうえに、システイン・グルコース系メイラード反応系から新規なメイラード色素を構造決定できた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は新たな褐変前駆としての4-hydroxy-5-methyl-3(2H)-furanone を同定した。また、その褐変機構との関連も一部検討したので、さらに詳細な検討を行い、本化合物経由の褐変経路を明らかにする。また、褐変高分子の性状も調べたい。また、カテキン・グリシン系モデル溶液から黄色色素を単離してその性状を明らかにする。本年度、システイン・グルコース系から新規化合物を単離構造決定できたが、本化合物の生成機構なども明らかにしたい。
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