2015 Fiscal Year Annual Research Report
咀嚼・嚥下動作時の香気フレーバーリリース予測システムの構築と開発
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26282019
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
小竹 佐知子 日本獣医生命科学大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (60233540)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
道脇 幸博 昭和大学, 歯学部, その他 (40157540)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 香気 / フレーバーリリース / 咀嚼・嚥下 / フレーバーリリース予測 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度に引き続き、データ採取を継続して行った。 (1)香気化合物の基礎的物理特性値のデータ…香気化合物の基礎的物理特性値(融点、沸点、溶解度、蒸気圧、ヘンリー定数、LogP、拡散係数)のデータ集約が終了したので、学会発表を行った。 (2)種々食品・食塊の特性値のデータ…種々食品の成分組成を把握し、咀嚼・嚥下時の食品の(食塊の)物性値(圧縮・伸長特性、粘弾特性、表面張力、すべり摩擦係数)を測定した。種々食品試料に人工唾液を加え、交付者考案の咀嚼モデル装置により模擬咀嚼して食塊を調製した際、粘稠性の高い粒系食品やガムなどの粘弾性の顕著に高い食品の模擬咀嚼が困難であることも判明した。結果の一部は学会発表を行った。 (3)種々食品からの香気放散データ…種々食品試料からの香気放散データについては、本年度も継続して行った。測定では従前どおり、人を使ったパネリスト実験および咀嚼モデル装置を使った模擬咀嚼実験を行い、パネリスト実験では、各パネリストの咀嚼特性(咀嚼頻度、咀嚼速度、咀嚼圧、呼気流量、唾液分泌量、嚥下頻度)や口腔内構造の把握がn=24まで進んだので、これも継続して行う(歯科医師道脇幸博氏-昭和大学口腔外科が分担研究者として担当)。なお、咀嚼中の食品物性の官能評価において、パネリストの物性表現が異なると、フレーバーリリースの知覚程度も異なることが示唆されていた点は、平成28年度挑戦的萌芽研究において展開することに相成った。結果の一部は学会発表を行った。 (4)生体膜組織との相互作用データ…生体膜は脂質分子と膜タンパク質からなる多元系物質であり、そのモデル系としてリポソーム膜を使う方法を検討し、これを基に、データ集積を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付研究初年度(H26)に行なった校舎移転に伴い、実験計画の若干の遅れ(電気設備の再構築・研究室面積の減少に伴う機器設置場所の複数回の移動・新規官能評価室の建築の遅れなどによる)があったが、交付2年目(H27)にはようやく機器の稼働が順調にできるようになり、研究を進めることができた。なお、一部校舎移転時に古い機器を廃棄せざるを得なかったが、他研究室で同種機器が設置されているものを使用できることになった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに引き続き、データ採取を継続して行い、最終年として、取りまとめ作業を行う。 (1)咀嚼モデル装置の弱点(粘稠性の高い粒系食品・ガムなどの粘弾性の非常に高い食品の咀嚼が難しい)を補強して、多くの食品に対応できる咀嚼パターンを構築する。特に、模擬歯の構造改革を実施し、これまでの固定型ではなく、2層構造による移動型で対応する予定である。 (2)種々食品・食塊の特性値のデータ…種々食品の成分組成を把握し、咀嚼・嚥下時の食品の(食塊の)物性値(圧縮・伸長特性、粘弾特性、表面張力、すべり摩擦係数)を測定する。種々食品試料に人工唾液を加え、交付者考案の咀嚼モデル装置により模擬咀嚼して食塊を調製する。この食塊の各値を物性測定器により測定する。食塊粒径の分布測定用の画像分析システムを用い、食塊粒径とフレーバーリリースとの関係について、データ構築をする。 (3)種々食品からの香気放散データ…種々食品試料からの香気放散データについては、本年度も継続して行う。測定では従前どおり、人を使ったパネリスト実験および咀嚼モデル装置を使った模擬咀嚼実験も行う。パネリスト実験では、各パネリストの咀嚼特性(咀嚼頻度、咀嚼速度、咀嚼圧、呼気流量、唾液分泌量、嚥下頻度)や口腔内構造の把握をn=32まで進める(歯科医師道脇幸博氏-昭和大学口腔外科が分担研究者として担当)。 (4)分子モデリングシミュレーション計算ソフトによるベストフィット…上記(1)~(3)のデータをもとに、分子モデリングシミュレーション計算ソフトを用い、香気化合物の放散現象にベストフィットするシステムの構築を行う。
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Causes of Carryover |
予定にしたがって実験を進められたが、26,994円の端数が出てしまった。カタログの表示定価価格と、納品価格に差があるため、見積書をお願いするのだが、見積もり書の入手までの所要時間に複数の発注が重なり、予算オーバーすることを恐れていたら、最終的に端数が出てしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度実施の官能評価用の消耗品として、使用予定である。
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Research Products
(4 results)