2015 Fiscal Year Annual Research Report
生活習慣病予防におけるアミノ酸の中枢性肝糖産生抑制作用の有用性の解明
Project/Area Number |
26282022
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
井上 啓 金沢大学, 新学術創成研究機構, 教授 (50397832)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 食品 / 糖 / 中枢神経 / 肝臓 |
Outline of Annual Research Achievements |
個体糖代謝調節と血中アミノ酸の「質」との関連が明らかにされ、生活習慣病予防を目指した食生活改善の標的として、アミノ酸・ペプチドの重要性が指摘されている。その中で、ヒスチジン・トリプトファン(摂食抑制系アミノ酸)は、それぞれ中枢神経ヒスタミン・セロトニン作用を介して耐糖能改善作用を有する可能性が示されている。代表者は、ヒスチジンによる耐糖能改善効果が、中枢神経ヒスタミン作用を介した肝糖産生抑制により引き起こされることを明らかにしてきた(Diabetes, 2013)。本研究課題では、ヒスチジン・トリプトファンによる中枢性肝糖産生抑制作用の、生活習慣病、特に糖尿病の発症予防における有用性の解明を行う。ヒスチジン・トリプトファンによる中枢神経性肝糖産生抑制のメカニズムを解明し、長期間投与法の効果について検討を行う。摂食抑制系アミノ酸の機能性解明により、アミノ酸の「質」に基づいた糖尿病・生活習慣病予防の新たなアプローチの開発に繋がると考えている。 本年度には、中枢神経作用による肝糖産生調節に、迷走神経活動およびクッパー細胞のα7型アセチルコリン受容体作用の抑制が必須であることを明らかにした。α7型アセチルコリン受容体欠損マウスでは、中枢神経作用による肝糖産生抑制が障害され、当該マウスに野生型マウス由来クッパー細胞を移植することで、その障害が回復した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
中枢神経性の肝糖代謝調節において、迷走神経活動の抑制が必須であることに加え、その分子メカニズムとして、クッパー細胞α7型アセチルコリン受容体の重要性を明らかにしており、当初の研究計画に先んじて、研究成果を得ているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
中枢神経トリプトファン作用による肝臓作用の解明とともに、トリプトファン・ヒスチジンの長期作用が、肝臓および個体糖代謝に及ぼす作用を検討する。
|