2014 Fiscal Year Annual Research Report
高等科学教育・研究におけるリスクアセスメントのための教育プログラムの構築
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26282031
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
刈間 理介 東京大学, 環境安全研究センター, 准教授 (50281308)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大久保 靖司 東京大学, 環境安全本部, 教授 (00301094)
小山 富士雄 東京工業大学, 大学マネジメントセンター, 特任教授 (50436565)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 高等科学教育・研究 / 有害危険性 / リスクアセスメント / 事故防止 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は大学・研究機関での高等科学教育・研究作業におけるリスクアセスメントを行うためのリスクの洗い出しをおこない、リストを作成した。 具体的には、「化学物質」、「高圧ガス」、「ガラス機器」、「カッター・メス類」、「金属板」、「実験用動物」、「実験用微生物」、「病原微生物」、「実験用機械装置」、「工作用機械」、「高圧電流」、「加温・加熱機器」、「高圧装置」、「粉塵」、「高所作業」、「低酸素危険作業」、「飛行物」、「音響」、「野外での教育・研究」について、過去の東京大学での事故・インシデント事例や、産業界での事故・健康障害事例を参考に、各作業で留意を要するリスクを列挙し、これらのリスクを整理して時系列的にリスト化した。 そのうえで、各リスクについて、有害事象が発生した場合に、「軽微な障害もしくは損害に留まる」、「中等度の障害もしくは損害に至る(数日の休業や数十万円台の損害)」、「重大な障害もしくは損害に至る(長期の休業や100万円以上の損害)」、「極めて重大な障害もしくは損害に至る(重い後遺症もしくは死亡、建築物の損壊など)」という各段階にリスクの程度を階層化した。 このうち「化学物質」については、国際化学物質安全性カード(ICSC)に登録されている1696物質を対象に、物理化学的危険性(他物質との混合危険性を含む)と人体有害性についてリスクをリスト化し、リスクの程度を階層化した。また「高圧ガス」については、東京大学化学物質登録システムに登録されている高圧ガス(特殊材料ガスを含む)を対象に、物理化学的危険性と人体有害性についてリスクをリスト化し、リスクの程度を階層化した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では平成26年度に、すでにリスクアセスメントを組織的に実施している英国の副巣の大学と、日本の産業技術総合研究所を対象として、学生・研究者にヒヤリング調査およびアンケート調査を行い、「自らの教育・研究に対するリスクアセスメントを行なったことにより有益に感じた事項」、「自らの教育・研究に対するリスクアセスメントを行ううえで難しいと感じた事項」、「リスクアセスメントを行う際に役立った情報・ツールと、今後望まれる情報ソースやツール」について調査する予定であったが、先方の事情があり実施できなかった。 この調査は平成27年度内に行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度にリスト化・階層化した大学・研究機関での高等科学教育・研究作業におけるリスクについて、すでにリスクアセスメントを組織的に実施している国内外の大学・研究機関における調査を参考に、リスクアセスメントに関するガイドブックとWebベースのリスクアセスメント支援ツールを作成する。 ガイドブックは、「a) リスクアセスメントの意義」、「b) 自らの教育・研究に関わるリスクの洗い出し方」、「c)リスクの発生頻度と危害の程度からみたリスクの大きさの判断方法」、「d) リスクの大きさを基礎にした各リスクへの対策の考え方」を研究者・学生が理解できるようにすることを目的として作成する。 Webベースのリスクアセスメント支援ツールは、学生・研究者が自らの教育・研究がチェックリストに該当する事項があった場合、Webから検索語を入力すると、a) その事項が有する危険有害害性、b) その事項の危険有害性に対し事故・障害防止のため必要な対応、c) その事項の危険有害事象が発生時(事故・障害発生時)に必要な対応等が簡潔に理解できるData Baseを作成し、学生・研究者が自らリスクアセスメントを実施し対応策を考える際に活用できるものにする。
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Causes of Carryover |
平成26年度は数回の英国での調査のための旅費を計上していたが、先方の事情から英国での調査実施に至らず、旅費の使用が平成27年度に繰り越しとなった。 また当初の予定通り、リスクアセスメントのためのガイドブック作成費と、Webベースのリスクアセスメント支援ツールの作成は平成27年度におこなうため、その金額は平成27年度に使用する予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度はすでに組織的にリスクアセスメントを実施している英国の数大学を調査訪問する予定である。 また平成27年度にリスクアセスメントのためのガイドブックとWebベースのリスクアセスメント支援ツールの作成を開始する。
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