2016 Fiscal Year Research-status Report
集団的知性における類推・分析能力を強化するプロジェクトマネジメント研究
Project/Area Number |
26282037
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
桐山 聰 鳥取大学, 大学教育支援機構, 准教授 (70423423)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢部 玲子 北海道文教大学, 外国語学部, 講師 (40633376)
三浦 政司 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80623537)
渡邊 真実 (村田真実) 大阪大学, 日本語日本文化教育センター, 講師 (90707738)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 集団的知性 / グループ学習 / プロジェクトマネジメント / エンジニアリングデザイン / インストラクショナルデザイン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究においては,学習者個人の能力ではなく,学習者間の相互作用において生じうる集団的知性に着目し,個人による成果物ではなく,集団としての成果物の質を向上させることを狙った.集団的知性を制御するために,行動を規定する簡単なルールを2種類導入した.具体的な問題解決のテーマは,論理的文書の作成とした.文章執筆の技能向上に関する取り組み事例の1つである小学生の読書感想文の練習に穴埋め式ワークシート(新学社の教材)を活用する取り組みに着目し,「型」と集団的知性を実現するためのルールとの間に類似性を見出した.この「型」を集団的知性に働きかけるツールと位置づけ,新学社のホームページ上に穴埋め式ワークシートの新規活用法を提案した.主に大学初年次生による文章作成プロセスにおける集団的知性の実現を図り,その結果,文書の質の向上を認めた.具体的には,提出された全てのレポートにおける特徴的キーワードの出現頻度を分析した結果,ほとんどのレポートにおいてルールへの適合度の向上,および他のレポートとの間での差異の縮小(均質化),すなわち「最良の1つの成果物」への収束が認められた.一方,レポートに付加・置換されたキーワードの由来を分析した結果,筆者らが集団的知性の働きとして期待した「他者のキーワードの再利用」は1例が認められた.このことから,付加・置換を行わせるルールの適用が容易ではなかったと考えられた.左記実験結果・成果は,第64回工学教育研究講演会,及び第23回大学教育研究フォーラムにおいて計3件発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文章作成をモデルケースとして,研究計画において構想した意思決定ルール等2つの簡単なルールが具体化され,それによって所期の目標である「集団的知性を最良の1つの成果物へ収束させること」ができる見通しを得たから.
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Strategy for Future Research Activity |
事業最終年度であるので,研究成果の発信を重点的に行う.工学教育研究講演会,第23回大学教育研究フォーラム等における発表,工学教育等論文誌への投稿を行う.また,研究成果の教育現場への適用を引き続き図っていく.
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Causes of Carryover |
研究分担者(三浦)による成果を国際学会にて発信したいため,平成29年度に向けて平成28年度の支出を抑えた.また,平成28年度は研究分担者(村田)の校務上のエフォートが一時的に上昇したため,平成28年度に予定していた研究代表者や他の研究分担者との打合せをオンライン会議にて代用し,旅費を執行しなかった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度に予定している研究分担者(村田)も関わる検証実験を実施するにあたって,研究代表者及び研究分担者(矢部)が既に実施している実験を,研究分担者(村田)が視察し研究代表者・研究分担者(矢部)と打ち合わせる.また,研究代表者らによる学会発表・論文投稿,研究分担者(三浦)による国際学会発表等の成果発信を行う.
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