2014 Fiscal Year Annual Research Report
持続発展を題材としモデル化学習により科学知の活用と探究能力を育成する国際協働研究
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26282040
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Research Institution | Toin University of Yokohama |
Principal Investigator |
松原 静郎 桐蔭横浜大学, スポーツ健康政策学部, 教授 (50132692)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 憲治 国立教育政策研究所, 教育課程研究センター基礎研究部, 研究員 (10549372)
高橋 三男 東京工業高等専門学校, 物質工学科, 教授 (40197182)
生尾 光 東京学芸大学, 教育学部, 助教 (50159589)
後藤 顕一 国立教育政策研究所, 教育課程研究センター基礎研究部, 研究員 (50549368)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 科学教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
1 大気汚染対策教材等のSD教材では、科学者・技術者の環境に対する対応が、害が発生してからの処理から、害が発生しない過程へと、持続可能な方向へと変化していることを意識させるとともに、自ら判断・意思決定し行動に結び付けていく、主として意識・意欲面を中心として教材を開発してきた。それに加えて、SD教材で得た知識や概念を活用するワークシートを付加する検討をした。具体的には大気汚染対策教材に付加したワークシート4の改訂を検討した。 2 実験教材に関しては、これまでに引き続き、酸素/二酸化炭素センサや空気電池を用いた高橋式酸素センサ等を教育センターに貸し出し、研修講座や学校の授業等で実践をした。また、視覚特別支援学校では、酸素/二酸化炭素センサの読み上げ機能を使っての実験についてさらに実践を進め、今回は高等部の生徒を対象に燃焼の実験を行い、具体的な数値から濃度変化を自分たちで読み取り、その変化の表す意味について考察することができた。 3 モデル化学習教材では、概念モデル構築、実験計画、実験実施、レポート作成、新たなモデル構築の過程を定型とし、生徒が扱える教材の検討を進めた。物質の同定をテーマとし、砂糖と食塩のかさ密度による判別を題材とした教材の開発・改訂を行ってきた。高等学校化学部での予備調査と中学校での実践から、モデル構築の基本項目に書くべき要素は理解されたと考えられた。さらに、化学反応式の決定をテーマとし、炭酸水素ナトリウムの熱分解を題材とした教材を開発し、モデル構築の基本項目の要素が物質の同定と対応していることが確認できた。 4 アジア諸国との協働研究では、8月にフィリピンのパラワン州立大学で第5回国際ワークショップIWS-5が開催された。日本とフィリピンから教育関係者が参加し、この1年間に進めてきた研究について報告するとともに、フィリピンでの教育状況を視察し、共通理解を深めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SD教材の枠組みに沿って、意思決定させる教材を開発・実践・改訂することについては、プラスチックに関する教材の開発・改訂を進めるとともに、その発展としての「化学変化と物質の質量」教材の実践結果から化学においても予想の定型文が作成可能であることが認められた。また、大気汚染対策教材において、得た知識や概念を活用するワークシート4の改訂をモデル化学習と結びつけて検討し、結びつけることで活用を考えやすくなる可能性が認められた。 酸素センサ及び二酸化炭素センサ等を用いて実験教材を開発することについては、各県教育センターで研修等に活用し、実験教材の開発も引き続き進めている。また、これまでの視覚障碍特別支援学校での実践により、小学部・中学部・高等部のどの段階の理科における実験にもセンサが有効に活用でき、その効果も大きいことが認められた。 モデル化学習については、2014年度に物質の同定と化学反応式の決定の2テーマで、概念モデルの構築、実験計画、実験の実施、レポートでのまとめ、新たなモデルの構築の過程(サイクル)を定型とし、モデル構築の基本項目として考えておくべき要素として、前提の確認、着目する事項、結論の導き方の三つを抽出することができた。 アジア各国との協働研究では、Educational Co-research for Sustainability (ECoS) を組織し、2014年度は8月に第5回国際ワークショップ (IWS-5) をフィリピンのPalawan州立大学で開催した。2015年度のIWS-6は、マラヤ大学で8月に開催する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
SD教材の開発・実践・改訂については、プラスチック教材等の開発・改訂を進めるとともに、大気汚染対策教材において、得た知識や概念を活用するワークシート4をモデル化学習と結びつけ、実践・改訂していく。 また、教師役の生徒を決め、教師との話し合いや予備実験を通して、教師役の生徒が実験活動を主導する実践を2高等学校で進め、教師役、生徒役ともに意欲が向上し、単元の理解が得られており、この活動のSD教材への活用を検討する。 現在各県教育センターで研修等に活用している高橋式(空気電池式)酸素センサ及び無線型二酸化炭素センサ等を用いた教材を実践し、実験教材の開発・改訂を引き続き行い、実践結果を基に教師用書としてまとめていく。また、視覚障碍特別支援学校での評価が高い、視覚障碍者の実験に対応した読み上げ機能付きセンサについてもさらに理科の実験に活用していく。 モデル化学習の推進の観点では、モデル構築の過程(サイクル)を定型とし、2テーマにおいてモデル構築の基本項目の要素を抽出し定型化することができた。これを新たなテーマの教材に対して実践し、適用範囲を確認するとともに、知識の活用能力の育成についての有効性も調べていく。また、モデル構築の基本項目と予想の定型文との関係性を検討していく予定である。 アジア各国とはEducational Co-research for Sustainability (ECoS) を組織し、国際ワークショップ (IWS) をこれまで5回開催してきた。2015年度のIWS-6はマラヤ大学で、2016年度は韓国晋州教育大学校で、2017年度は桐蔭横浜大学で開催する予定である。
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Causes of Carryover |
分担者生尾光はXRDのサンプル購入予定であった実験が翌年度に持ち越されたためであり、また、分担者松原憲治はシンガポールに調査訪問の予定であったが、先方の研究者との日程が合わず、翌年度に変更したためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
翌年度使用額が生じた理由の通り、分担者生尾光については、XRDの実験を行う際のサンプルの購入予定である。分担者松原憲治は本年度8月に国際ワークショップがマラヤ大学で開催されるが、それに合わせてシンガポールを調査訪問する予定である。
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Research Products
(10 results)