2015 Fiscal Year Annual Research Report
Web調べ学習におけるモデルベースの学び方習得支援環境
Project/Area Number |
26282047
|
Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
柏原 昭博 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (10243263)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 忍 北陸先端科学技術大学院大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (30345665)
光原 弘幸 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 講師 (90363134)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 教育工学 / 調べ学習 / 学習モデル / 認知ツール / Webマイクロワールド |
Outline of Annual Research Achievements |
人類の知の集積・流通メディアとなりつつあるWebにおいて調べ学習する能力は、現代の知識社会では極めて重要である。こうした観点から、昨年度Web調べ学習モデルを構築し、モデルベースに学び方の習得を支援する認知ツールを開発した。平成27年度は、このツールを基盤として調べ学習を行う場となるWebマイクロワールドを設計・開発した。具体的には、次の(1)~(4)を行った。
(1)Webマイクロワールドの基本設計の再検討:昨年度に引き続き、Web マイクロワールドの基本設計に関する検討を重ね、Wikipediaを対象としたLOD(Linked Open Data)から調べ学習に有用なWebリソース群を収集する手法、およびWeb調べ学習の解を同定する手法を開発した。 (2)Webマイクロワールド設定制御メカニズムの開発:(1)の基本設計にしたがい、マイクロワールドに含めるべきWebリソースの数と多様性の度合いを調整するメカニズム、および設定されたWebリソース群に対するWeb調べ学習の解を同定して足場を築くメカニズムを開発した。さらに、学習者による自己評価の足場として、解と学習者による学習プロセスを比較させる機能を検討した。 (3)Webマイクロワールド演習メカニズムの検討:調べ学習での情報分節化・構造化操作の困難さが徐々に高まるように、段階的にマイクロワールドの設定(Webリソース群の設定、足場の設定)を変化させてWeb調べ学習演習を実施するメカニズムを検討した。 (4)ケーススタディ:開発したWebマイクロワールドを学習者に使わせて認知ツールの操作履歴を取得し、学習プロセスの遂行がどのように変化するのかを分析するためのケーススタディを実施した。また、その結果を踏まえて問題点を抽出し、Webマイクロワールドの基本設計を見直すとともに、マイクロワールド設定制御メカニズムの洗練を図った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Webマイクロワールドの設計・開発は、ほぼ計画通り進めることができたが、LODから自動的にWeb調べ学習の解を同定する手法の開発を試みたところ、自動化は技術的に困難であることが判明し、LODから抽出した解を人間の教師が容易に編集して半自動的に同定する実用的な手法を開発した。 こうした調べ学習の解同定手法の開発に少し時間を要したため,Webマイクロワールド演習メカニズムの開発とその成果公表がやや遅れぎみとなったが,より実用的でかつ実現可能性の高いWebマイクロワールドを構築することができた。 以上のことから、研究はほぼ計画通りに進捗しており、現在の達成度を(2)と判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度実施したWebマイクロワールド演習メカニズムの検討結果に基づき、開発およびその成果公表を進めることで、Web調べ学習演習メカニズムの新規性と有効性を検証したいと考えている。また、この検証結果および本年度実施したWebマイクロワールドの基本設計と設定制御メカニズムの洗練も踏まえて、来年度予定している中長期におよぶ有効性評価実験を実施し、Webマイクロワールドの洗練をさらに推進する。同時に、広くWebマイクロワールドが活用できるように、タブレットメディア上でWebマイクロワールドを動作させる環境を整備する。
|
Causes of Carryover |
Webマイクロワールド演習メカニズムに関する研究成果を国際会議で公表する予定であったが、メカニズムの開発がやや遅れたこともあり、研究成果を公表する機会を年度内に得ることができなかったためである。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の研究費使用計画として、当初の計画通り使用する予定であるが、Webマイクロワールド演習メカニズムに関する本年度の検討結果を含めて次年度も研究成果公表を推進する予定であり、本年度未使用分については研究成果公表のための旅費に割り当てる。
|
Research Products
(19 results)