2015 Fiscal Year Annual Research Report
高等教育機関におけるFD・SDを目的としたOR支援型IRシステムの開発
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26282057
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
山下 英明 首都大学東京, 社会(科)学研究科, 教授 (30200687)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立石 慎治 国立教育政策研究所, 生徒指導・進路指導研究センター, 研究員 (00598534)
大森 不二雄 首都大学東京, 大学教育センター, 教授 (10363540)
永井 正洋 首都大学東京, 大学教育センター, 教授 (40387478)
林 祐司 首都大学東京, 大学教育センター, 准教授 (40464523)
椿本 弥生 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 准教授 (40508397)
松河 秀哉 大阪大学, 全学教育推進機構, 助教 (50379111)
渡辺 雄貴 東京工業大学, 教育革新センター, 准教授 (50570090)
松田 岳士 首都大学東京, 大学教育センター, 教授 (90406835)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 教授学習支援システム / FD・SD / IR / OR |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、高等教育機関が機関内の各部局・部署に保有するデータを一元的に管理・分析し、フィードバックして改善する統合的システムを開発し、教育実践の中で評価することである。また目標を達成するために、五段階の研究ステップを経る予定である。具体的には、米国におけるシステム使用状況調査、分析モデルの開発、データウェアハウスの設計・開発、ORの知見を活用した分析モデル・データの実装、システム使用の効果測定・評価の順に研究を進める計画となっている。 平成27年度は、上記進捗ステップのうち、当初予定していたデータウェアハウス開発および分析モデルの実装までを達成した。具体的には、試作版として、大学教職員が学生の留年の可能性を早期に発見し、指導に役立てるための留年判定モデルを運用するシステムを開発し、過去の学生データを基にしたダミーデータを用いて稼働を確認した。留年判定モデルでは、判別分析に用いることができるソフトマージン・サポートベクターマシン(SVM)を採用し、機械学習ライブラリを用いてスタンドアロンのPC上に試作版を実装した。試作版の開発過程では、まず、使用できるデータを検討してデータウェアハウスの要件・仕様を定めた。次に、分析モデルとしてSVMおよび包絡分析法(DEA)を検討し、より的確な判定を行えるSVMを選択した。また、システムのインターフェース、特にユーザである教職員が最初に目にするダッシュボードに関しては、表示項目および表示方法を適正化するために教員へのニーズ調査を実施し、その結果を反映して可視化方法を決定した。 なお、平成27年度末に入力しているデータは一大学の一専攻のIRデータを加工した11項目のダミーデータであり、複数教育機関の実データを用いた判定精度の確認や向上は今後の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画では、平成27年度中にモデルの試行、データウェアハウスの構築、モデルの実装、形成的評価までを達成する予定であった。 平成27年度には、まず、システム開発以前に複数回にわたってモデルに用いる分析法を検討し、ソフトマージンSVMを選択した。その後、データウェアハウスおよびモデルを実装した試作版をシステム開発してダミーデータを用いた稼働テストまでを完了した。アクション・リサーチによる形成的評価は、年度末に開始されたが、評価結果を集約分析するには至らなかった。したがって、全体として順調に進展し、当初計画されていた進捗度合いをおおむね達成したが、成果のまとめまで至らなかった部分が残された状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、本研究の最終年度であるので、残る研究課題に取り組み研究目標を達成できるようにする。また、学会発表や投稿論文の形で成果を積極的に発表する。具体的には、二つの方向性から、試作版システムを評価し、改善する。評価では、アクション・リサーチの手法を用いる予定である。 第一に、判定精度と汎用性を高める研究である。多様なデータセットを用いて機械学習を深めて、留年判定の精度を上げると同時に、オーセンティックな使用場面を想定して評価する。さらに、平成27年度に用いたデータセット自体についても再検討する。第二に、ユーザビリティを高める研究である。ユーザビリティ評価の対象として、インターフェースだけでなく、操作性や学生指導への役立ち度も含める。 研究成果発表の場としては、9月に開催される教育工学会全国大会、年度末に開催される大学教育研究フォーラムのほか、米国AIRやAACEが主催する国際会議も想定している。また、これら学会発表を通した指摘等をふまえて論文を取りまとめ、投稿する予定であり、代表者・分担者間で発表・執筆の分担も調整している。
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Causes of Carryover |
分担者の次年度使用額は、予定していた学会への出張を体調不良により取りやめたためであり、代表者の次年度使用額は、システム開発委託費の端数として生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
分担者の次年度使用額は、平成28年度において成果発表に要する費用(学会発表、論文投稿費用)として使用する計画である。代表者の次年度使用額は、平成28年度のシステム改善費用に追加される予定である。
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Research Products
(5 results)