2015 Fiscal Year Annual Research Report
ePub3電子教科書の国際的な仕様策定と実現可能性の検証
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26282059
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
田村 恭久 上智大学, 理工学部, 教授 (30255715)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 電子教科書 / Learning Analytics / 学習分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、電子教科書を用いて学習した際の行動履歴を取得・分析し、学習者にフィードバックを行うLearning Analyticsについて研究を推進した。まず、教科書のページめくりの挙動を自動で検出し、パラメータ(学習者、日時、ページ番号)をサーバに自動送信する機能を開発した。これを用い、60~80名が参加する6単元を対象として実験を行った。これにより取得した学習履歴を分析したところ、以下の知見を得た。 (1) 従来の授業運営では、教員が説明しているページを見ているのが「良い学習者」とみなされていたが、実験において教員の説明に従って教科書を閲覧する学習者は、必ずしも提出した課題が高評価なわけではない(統計的に有意でない)。 (2) 学習者によっては、授業の最初に当該単元のページを素早く一覧し、そののち教員の説明するページに戻るケースがある。これは学習者の学習スタイルである、内容全体を最初に俯瞰する Wholist スタイルを反映しているという仮説を立てた。スタイルを推定するアンケート結果と照合した結果、5%有意には届かなかったが、10%水準で有意となった。 (3) 教科書の説明内容を補完する追加資料や発展問題を含み、学習者の意向によってこれらが閲覧できる、自習用の電子教科書を開発した。これを用いたグループと、従来の教科書のみを用いた学習者のグループの課題達成度を比較した結果、前者の達成度が5%水準で高水準であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」にあるように、Learning Analyticsにテーマを絞り込み、その3テーマについて開発・実験・仮説検証を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度は、引き続きLearning Analyticsをテーマとしたい。また、学習者が獲得した個別情報ではなく、応用や批判といったスキルの獲得度合いの測定方法を、Learning Analyticsの観点から掘り下げて検討していきたい。
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Causes of Carryover |
国際会議における発表が1回キャンセルとなったため、次年度に繰り越すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国際会議発表の旅費に充当する予定である。
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