2014 Fiscal Year Annual Research Report
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26282066
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
斎藤 憲 大阪府立大学, 人間社会学部, 教授 (10221988)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ギリシャ数学 / エウクレイデス / 古典ギリシャ語 / 依存文法 |
Outline of Annual Research Achievements |
エウクレイデス『原論』の一部分を抽出し,その電子テクストから全出現単語の語形,原形,活用を記録した.次にテクストの言語表現の構文の解析と記録を試みたが,ここで問題が生じた.古典ギリシャ語での数学文献の定型的表現では,全体の構文を決定するのは主よりも動詞である.たとえば同じ「直線」が主語の文であっても,動詞が「結ぶ」(多くの場合は命令法受動相)であれば,しばしば「点Aから」(apo tou A)「点B」へ(epi to B)のような前置詞句を伴うし,動詞が「切る」(やはり命令法受動相)ならば,ほとんどの場合「点Aにおいて」(kata to A)のような前置詞句を伴う(いずれもギリシャ語はローマナイズしている).ところが文を主部と述部に分けることを基礎とする通常の構文木は,動詞が構文を決定づけているという事実をうまく表現できず,数学文献の構文解析には不向きである.海外研究者との打ち合わせや文献の調査の結果,ルシアン・テニエールの依存文法が,動詞を頂点とする構文木を生成し,本研究の目的に最適であると判断するに至った.このため,依存文法と,その数学文献の文章への適用について,さらに調査を進めた.このため作業は予定のスケジュールよりも遅れを生じ,構文木の本格的な作成や,構文解析支援プログラムの作成は2年目に持ち越すことになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ギリシャ数学文献の構文木の作成の基礎として、ルシアン・テニエールの依存文法を採用することとし、その調査と、実際の適用における課題の検討に時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究に多少の遅れが生じているが、研究遂行により適した方法を採用したためであり、今後は当初の方針に沿って順調に研究が進展するものと考えている。遅れを取り戻すべく努力したい。
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Causes of Carryover |
研究実績の概要、現在までの達成度の項に記述したとおり、研究計画の遂行に遅れが生じ、人件費、プログラム作成費用などの支出が年度中になされなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究の進行に伴い、次年度使用分と当初から予定の使用分を、当初の予定通り使用する見込みである。
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