2014 Fiscal Year Annual Research Report
国宝桜ケ丘銅鐸の総合診断調査と今後の保存活用 ―発見50年目を迎えるにあたって―
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26282075
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Research Institution | Asian Cultural Exchange Center |
Principal Investigator |
進村 真之 福岡県立アジア文化交流センター, その他部局等, 研究員 (90592709)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池内 一誠 福岡県立アジア文化交流センター, その他部局等, 研究員 (60573095)
北井 利幸 奈良県立橿原考古学研究所, その他部局等, 研究員 (70470284)
鳥越 俊行 独立行政法人国立文化財機構奈良国立博物館, その他部局等, 研究員 (80416560)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 文化財の保存と活用 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究は、国宝桜ケ丘銅鐸を所蔵している神戸市立博物館と九州国立博物館が中心となって①発見当時の記録の再調査、②今後の保存と活用の2つのテーマを中心に推進した。 ①としては、桜ケ丘銅鐸発見50周年を機にシンポジウムの開催や各機関に保管されている桜ケ丘銅鐸関連の資料の調査を行った。シンポジウムは発見時からその後、神戸市によって保存されることとなる経緯を含め、関係者から当時の状況を詳しくお聞きすることができた。発見時の聞き取りを担当した関係者から、銅鐸模型を使用し、埋納に関する状況を確認することができた。その後の神戸市に収蔵される経緯についても詳細な経緯を確認することができた。また、銅鐸研究の最前線についての講演も行われた。また、東京国立博物館、島根県立古代出雲歴史博物館、辰馬考古資料館において、桜ケ丘銅鐸発見に関する資料の調査を行った。 ②としては、講演会、鋳造実験、3D計測データ、展覧会の検討会を行った。講演会では、銅鐸を今後、どのように活用していくかが重点的に語られた他、最新の科学的調査成果を用いた銅鐸の鋳造に関する話を市民に分かりやすく紹介を行った。鋳造実験は、今回の共同研究で新たに文様が明らかとなった12号銅鐸について、竹中大工道具館において砂型による復元を行った。弥生時代の人々が鋳出そうとした文様を明瞭に再現することができた。桜ケ丘銅鐸1~14号の3D計測データ検討会は神戸市立博物館において、銅鐸の研究者を中心に集まっていただき、あらためて文様の詳細な検討を行い、その後、展示室にて実物との確認を行った。九州国立博物館において「小中学生からの考古学」展を実施し、その中で桜ケ丘6号銅鐸および鳴らせるレプリカの展示を行い、弥生時代の響き体験できるようにした。また、その際に銅鐸裾部の切断面の顕微鏡調査を行った。 その他、他遺跡から出土している銅鐸や青銅器に関してもCT調査を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国宝桜ケ丘銅鐸の発見50年目にあたり、当時の記録を再確認するためのシンポジウム、資料調査を行った他、今後の保存と活用のための講演会、鋳造実験、3Dデータの検討会、展覧会など保存と活用の研究を活発に行った。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、計測が完了しているX線CTデータ等の検討を行い、さらなる総合診断データの蓄積を行う。また、桜ケ丘銅鐸と同じ鋳型で製作された銅鐸に関しても総合診断を行う。この成果を公開するため、論文・報告の編集作業を進める。一般向けにわかりやすい展覧会を開催するほか、教育普及ツールの開発を推進する。
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Causes of Carryover |
石型による銅鐸の鋳造実験を予定していたが、適切な石材が調達できなかったため、次年度以降に実験を行うことになったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度に延期をした石型による銅鐸の鋳造実験を行う。
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Research Products
(1 results)