2014 Fiscal Year Annual Research Report
日本列島の地形変動の総合復元に基づく国土防災のための地形分類体系の再構築
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26282078
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
須貝 俊彦 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (90251321)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 地形 / 河川 / 沖積平野 / 写真図化 / 地形分類 / 自然災害 / 第四紀 / 斜面変動 |
Outline of Annual Research Achievements |
uav-sfmを利用した写真図化法を導入し、計算機・計測機器を整備し、荒川中流等で検討を開始した。日本列島を構成する様々な地形のうち(1)木曽山脈高山域における線状凹地・周氷河地形、(2)奥羽脊梁山地の巨大地すべり地形と凹地湿地地形、(3)飛騨山脈・姫川の礫床地形および河口沖海底地形、(4)三陸海岸南部の湾奥部の沖積低地地形、(5)関東平野および濃尾平野の最終氷期低海面期以降の河川堆積地形、(6)シラスの表層崩壊地形、を対象として、現地調査・地形分類・堆積物分析等を実施し、(2)、(4)~(6)は、国際誌等学術誌に成果を論文公表した(一部印刷中)。他も日本地理学会、第四紀学会等で成果を発表し、日本地球惑星科学連合大会およびINQUA名古屋大会で発表予定である。(1)は、ロガー観測によって積雪期間を評価し、積雪による宇宙線の遮蔽効果を初めて定量的に示した。また、カール地形、周氷河平滑斜面、線状凹地の3者の形成期と形成環境、相互関係について考察を進めた。(2)は地すべり運動と地すべり土塊の開析によって、土塊内の湿地の発生・維持・消滅が支配されていることを分布論の立場から議論した。(3)では長苦鉄質岩からCr、Niが鉱物態で供給され、河川と海流が運搬後、海底堆積してきたこと、夏期モンスーン強度の変化が姫川流域の削剥速度変化を規定していること、物質移動には豪雨による河川洪水が重要なことを明らかにした。(4)では三陸山田平野の地形と堆積層発達を明らかにして、同地域が完新世に沈降隆傾向にある可能性をを論じた。(5)では多くの資試料の分析を進め、最終間氷期以降の古地理と地形変遷を復元しつつある。(6)では崩壊地が等載直線斜面上に発生しやすいことをDEMを使った地形解析によって解明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標の7割程度の進捗にとどまった。地中探査の進展を意図していたが、sfm-uavの技術普及がこの1年で急速に進み、従前の数分の1の予算規模で、高精度の地形モデルの構築が可能となったことから、地形分類の体系化を効率的に進めるために、導入すべきと判断し、その準備をすすめた。大学業務が増し、フィールドワークを予定の6割程度に抑えざるをえなかったものの、多くの研究協力者と大学院生と共同して研究を進めた結果、学会発表論文や査読論文を多数まとめることができ、今後の研究の足がかりを得ることができた。以上の理由から、おおむね順調と判断します。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、関東平野北部や三陸、北陸において地形調査を実施するとともに、地下地質データべースを活用して、3Dでの地形と地形構成物質の関係を、階層的類型的にモデル化する方向で、研究を推進する。uav-sfmを用いた微地形分類法の確立と個々の微地形への適用を進めたい。
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Causes of Carryover |
当初、地中レーダー装置一式を購入予定であったが、他機関のものを借用できたため、設備備品の支出が抑えられた。本務の負担が増して、野外調査の期間や回数を削減せざるをえなかった。このため旅費の支出も少なくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
26年度に地中レーダー調査を沖積低地で実施したが、地下2m以深の情報が得にくいため、導入を延期するとともに、UAV-SFMシステムによる微地形分類を進めるためのリソースの充実(計算機およびUAVおよび空中写真の電子ファイルの購入)を進めたい。
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Research Products
(24 results)