2015 Fiscal Year Annual Research Report
土木建築構造物の施工・維持管理に向けたアクセシブルレーダ技術の先駆的開発
Project/Area Number |
26282092
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
三輪 空司 群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (30313414)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
羽賀 望 群馬大学, 大学院理工学府, 助教 (50638476)
小澤 満津雄 群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (80313906)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 非破壊検査 / 安全安心 / レーダ / リモートセンシング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、遠隔的な非破壊検査技術の一つとして知られているレーダ技術において、計測対象の近傍を詳細に計測したり、計測対象に近づきながら計測を行うといったMeasurement While Excavating レーダ技術の高度化を目指した研究であり、以下の3点の技術に着目した技術開発を行う。 A.『パワーショベル等の掘削バケット前方探査用レーダの開発』では初年度において開発したバケット一体型アンテナである八木宇田スロットアンテナの偏距給電を行い、指向性の最適化を図った。その結果、よりバケット前方に指向性が向けられることがわかった。そのアンテナを実機のバケットに設置し、新たに開発した500MHz帯のFMCWレーダシステムにより、バケットを動作させながら前方の反射体のリアルタイム計測実験を行い、埋設パイプからの反射波が計測できることを明らかにした。 B. 『RC構造物掘削用コアドリル前方探査用レーダの開発』では昨年度2重円筒タイプのコアドリルを提案し、アンテナ計上の最適化を行った。今年度は、コンクリート内において本アンテナにより鉄筋の反射波を計測するための実験を行ったが、アンテナ加工精度の問題で円筒内部からの反射波が大きく、コンクリート内の鉄筋の反射波の計測が困難であることがわかった。このため、数値シミュレーションを用いて、アンテナ効率の向上、円筒内部反射の少ない形状のアンテナへの最適化を行った。 C. 『レーダ技術によるRC構造物中の鉄筋腐食評価法の開発』では、昨年度まで、10GHz帯の狭帯域なシステムを開発したが、今年度は、スパイラルアンテナを用い4~13GHzの超広帯域UWBレーダシステムを開発し、鉄筋表面の凹凸のレーダイメージングを行った。鉄筋の腐食によりそのイメージが変化し、腐食の評価が可能であること、また、異なる鉄筋径においても本手法が適用できること等を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究Aに関しては、最終年度の目標である『アンテナ一体型バケットを実機に装着し、掘削しながらリアルタイムで前方監視を行うシステムを開発し、金属、非金属の埋設管を模擬的に埋設した実験フィールドにおいて実験を実施する』ところまでは既に終了しており、本年度様々なフィールドでの実証実験、また、アンテナの最適化、イメージング法の検討を残すのみとなっており、当初の計画以上に進展しているといえる。 研究Bに関しては、2重円筒構造のアンテナにより、空中実験では反射波を捉えられたものの、コンクリート内では、埋設した鉄筋の反射波の計測が困難であり、より精度の高いアンテナの開発が問題となっている。また、前方へのアンテナ効率を向上させ不要反射波を除去する手法が求められており、今年度の予定であった、小型レーダシステムの開発までは達成できなかった。このテーマでは反射波の検出にはレーダ信号処理よりもアンテナの高度化が重要であると考えており、進歩状況はやや遅れているといえる。 研究Cに関しては、新たに開発したスパイラルアンテナにより最終年度に実施予定であった超広帯域レーダシステムの開発を前倒しで行い、システムの構築が行えた。また、昨年度の問題となった再現性の確認においては、鉄筋径の異なる3種類の鉄筋が埋設された、それぞれ二つずつの供試体に対して、本システムを用いた評価法により鉄筋腐食の評価を行える可能性が示唆できた。このため、本研究に関しては当初計画以上に進展しているといえる。 したがって、総合的には、当初の計画以上に進展していると考えらている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度が最終年度となるが、研究A、Cに関しては総合評価を、研究Bに関しては、コンクリート内での計測可能性を示すことが最低限の目的となる。以下に各研究の具体的な推進方策を示す。 研究Aでは、バケット底面に設置した試作アンテナによりバケット前方の埋設管からの反射波を計測できたが、掘削にともない、バケット内に入り込む土砂等の影響による不要な反射波も見られ、埋設物との反射波の識別を困難にしている。これは、よりアンテナを前方に付けること、前方に指向性の向いたアンテナを使うことが有効であり、この目的のアンテナの数値解析や実験による有効性もすでに確認している。したがって、このアンテナの有効性を検証し、また、アンテナを上下逆に取り付け、バケットの下に指向性を向け掘削しながらバケット下部のイメージングも可能なシステムも検討する。 研究Bでは、試作アンテナのコンクリート内での反射が捉えにくい理由として、アンテナの開発が重要となってくるが、実用的には2重円筒のコアドリルは実用的ではないため、内円筒と外円筒間の隙間を狭くし、厚みを持った1重の円筒の内外導体でアンテナを構成する方式の有効性を検証する予定である。これにより、前方への電波の放射効率が高く、アンテナ内部の不要反射等の影響も少なくすることができると考えられる。また、小型のレーダシステムの開発よりも、アンテナとしての完成度を高める方向で検討を行っていく予定である。 研究Cに関しては、コンクリート強度、鉄筋かぶり等を変え、より多数の供試体について性能評価を行う予定である。また、スパイラルアンテナの広帯域化、不要反射波除去の検討を行い、屋外での適用が可能な簡易な計測システムを構築し、撤去橋梁等による実フィールドでの性能評価試験を行い研究総括を行う予定である。
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Research Products
(12 results)