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2015 Fiscal Year Annual Research Report

高負荷活動従事者の生体情報を活用した疲労度判定システムの構築

Research Project

Project/Area Number 26282093
Research InstitutionYokohama National University

Principal Investigator

岡 泰資  横浜国立大学, 環境情報研究科(研究院), 准教授 (10240764)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 栗山 幸久  東京大学, 学内共同利用施設等, 教授 (10373648)
沢口 義人  木更津工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (50455119)
Project Period (FY) 2014-04-01 – 2017-03-31
Keywords疲労 / 消防活動 / 火災 / 労働安全
Outline of Annual Research Achievements

火災現場において消防隊員は,さまざまな消火・救助活動を実施する。これら一連の活動の継続は,隊員の加速度的な体力消耗と,肉体的・精神的な疲労の蓄積を加速させる。隊員の疲労状態を科学的な数値で推し量ることができれば,従来の経験に基づく判断(主観的情報)に科学的検討(客観的情報)からの支援が可能となり,安全管理の向上に役立つと考えられる。しかしながら,高負荷活動従事者の疲労状態を推し量るために利用できるデータの蓄積は殆どなく,活動に伴う疲労がどのように蓄積されていくのか,この疲労の蓄積状況をどのような物理量で捉えることができるかを判断するための数値基準も確立されていない。
そこで,消防活動時における隊員の疲労状態を示す物理量の取得,得られたデータを基に科学的な根拠に基づいた判定指標の導出とその数値基準で構成した疲労状態判定ロジックの確立を目的として,4種類の実験を行った。横浜消防局所属の17名の現役隊員の協力のもと,高温多湿状況を再現した人工気候室において,一定の負荷がかかり続ける連続活動を模擬した自転車エルゴメータを用いた実験(Test 1),負荷が時間ともに漸増する連続活動を模擬したシャトルラン実験(Test 2)である。さらに6名の横浜消防局以外の現役消防隊員の協力を得て,火災現場対応の個人装備品(防火服一式,空気呼吸器 計20 kg)を着装し,地下一階から地上42階までの階段を一気に駆け上がる負荷活動実験(階段駆け上がり実験,Test 3)および土嚢搬送(1個30 kgの土嚢を6個20 m搬送),ハンマー叩き(鋼材をハンマーで叩いて1.5 m移動させる),消防車けん引(8 tの消防車を30 mけん引)の3種目で構成された負荷活動実験(パワー負荷実験,Test 4)を行った。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

(1)Test 1およびTest 2では,呼吸代謝量(酸素摂取量,換気量,呼吸数など),心電位,体温上昇,および動脈血酸素飽和度(SpO2)を,Test 3およびTest 4では心電位の,いずれも負荷活動中の時間変化のデータを収集した。
(2)Test 1あるいはTest 2において,心拍数の時間変化から求めた心拍数閾値(Heart Rate Threshold, HRT)を超えた心拍数を維持したまま活動を継続できる時間と,HRTには高い相関性がある。これは,高負荷がかかり続ける状況下での限界活動時間を,HRTを指標として設定することができることを示唆している。
(3)心肺機能への負荷程度は,心電位データの周波数解析で得られる指標をもとに推測できることを確認した。さらに呼吸代謝データとの比較から,心肺機能に負荷がかかり始める時間と,有酸素運動に無酸素運動の要素が加わり始める時間(Ventilation Threshold, VT)がほぼ一致することがわかった。
(4)英国消防局(Lancashire Fire Rescue & Service)に所属する6名の現役消防隊員の協力ももと,横浜消防局の消防隊員に課した,3種類の負荷活動(Test 1,Test 2および標準消防模擬活動実験)を実施し,体温上昇,心電位および呼吸代謝量の時間変化を測定し,既存結果と比較した。筋力面で大きな違いがあるにも係わらず,本研究で注目している指標で,心肺機能への負荷程度を評価できることを確認した。
(5)マルチステージシャトルランテストは,英国消防局で採用されているチェスターステップアップテストと同様に,隊員の活動限界および最大酸素摂取量を測定できることを確認した。
(6)実験で得られたデータを,リアルタイムの連続的な処理を可能とするために解析システムおよびセンサーシステムのプロトタイプを開発した。

Strategy for Future Research Activity

(1)心電位データを周波数解析することで得られる指標とVTの関係,SpO2との関係,HRTとの関係をより詳細に検討することで,心拍ゆらぎ指標の有用性を確認する必要がある。
(2)現場では,隊員への活動負荷は時間的に変動する。そこで活動要監視状態および活動停止を判断するには,心肺機能に負荷がかかっている状態を表す指標の時間積分値を用いる必要があるが,この閾値の決定および疲労度判定ロジックの確立にはさらなる検討が必要である。
(3)現場での活用のために,それぞれ別途に開発したデータ処理システムとセンサーシステムの結合と,全体システムの作動確認が必要である。
(4)英国消防で標準化されつつある消防訓練モデルとの比較から,申請者らが提案した中層建物火災に対する消防活動を模擬した消防活動モデルを改良する必要がある。

Causes of Carryover

比較的短時間(最大40分)に高負荷がかかり続けた状態での,心電位データの周波数解析から得られる指標とVTとの関係,SpO2との関係,HRTとの関係を検討してきたが,火災現場での隊員への負荷は,本研究で課した負荷強度よりも時間的に大きな変動が生じる可能性がある。
そこで,隊員の活動要監視状態および活動停止を2段階で判断するには,評価基準として心肺機能に負荷がかかっている状態を表す指標の時間積分値を,導入する必要があると考えられる。この観点からの閾値の決定および疲労度判定ロジックの確立にはさらなる検討が必要である。

Expenditure Plan for Carryover Budget

実験で得られたデータを,リアルタイムの連続的な処理を可能とするために,解析システムおよびセンサーシステムのプロトタイプを開発した。現場での活用のために,それぞれ別途に開発したデータ処理システムとセンサーシステムの結合する必要があり,この経費の一部として,繰り越した費用を使用する。
また,判断基準の標準化のためには,さらなるデータの積み重ねが必要であり,英国全体の消防士の訓練を統括するChief Fire Officer AssociationのFireFit GropeにLancashire Fire & Rescue Serviceとの共同研究成果を報告したところ,2017年度はManchester Fire & Rescue Serviceの協力が得られる可能性があることから,調整が整えばその測定にかかる経費の充てる。

  • Research Products

    (2 results)

All 2015

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Acknowledgement Compliant: 1 results) Presentation (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Journal Article] 心拍変動の周波数解析に基づく消防隊員の疲労状態推定手法に関する基礎研究2015

    • Author(s)
      岡 泰資,伊藤悠史,栗山幸久
    • Journal Title

      日本火災学会論文集

      Volume: 65 Pages: 11-17

    • Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
  • [Presentation] Evaluation of Fire Fighters’ Acute Fatigue based on On-line Physical Measurement2015

    • Author(s)
      Kuriyama, Y., Oka, Y., Ito, Y., and Enari, M.
    • Organizer
      6th international Symposium on Human Behaviour in Fire 2015
    • Place of Presentation
      Downing College, Cambridge
    • Year and Date
      2015-09-28 – 2015-09-30
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2017-01-06  

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