2014 Fiscal Year Annual Research Report
海底電磁場データのリアルタイム転送による津波の早期警戒
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26282101
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤 浩明 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (40207519)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 忠徳 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90303685)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 津波 / 電磁場 / ダイナモ作用 / 波高予測 / 伝搬予測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的を達成するためには,津波起源の電磁場変化を捉える観測装置を海底に設置し,海底電磁場の長期モニタリングを実施する必要がある。このため,平成26年度は,海底長期電磁場観測ステーションを,現在活動中の西之島の東南東約10kmの水深2150mの海底に設置した。この海底長期電磁場観測ステーションには高感度の微差圧計も搭載されており,海底電磁場だけでなく圧力変化,すなわち,津波による波高変化も同時に観測できるようになっている。 2013年11月に噴火活動を開始した西之島は現在も活発に地殻変動を継続しており,本研究にとっては格好の微小津波発生源となり得る火山島である。すなわち,西之島火山本体の山体崩落のみならず火山性地震その他の地殻変動に伴う海底地滑りや溶岩流の海中への流入などによって小規模な津波が発生し,それが斜面を下りながら海底長期電磁場観測ステーションに到達することが予想される。 この海底観測装置の設置前に行った津波電磁場の数値シミュレーション結果(Minami, Toh and Tyler, 2015)によれば,津波に伴う電磁場は水深が深くなるにつれ準定常電流が作る電磁場から自己誘導項により磁場凍結が卓越する電磁場へと遷移し,水深2000m付近でこれら二つの効果が重畳し振幅が極大値を取ることが新たに分かり,西之島周辺で発生した小規模な津波が斜面を伝搬中に海底長期電磁場観測ステーションで捉えられる可能性は高い,と考えられる。 これを踏まえ平成26年度は,西之島の海底山麓に海底長期電磁場観測ステーションの設置を計画しそれに成功した。今後はデータを回収し,津波に伴う海底での電磁場と圧力の同時記録の解析を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,(1)津波に伴う電磁場を観測する装置を海底に設置する,(2)設置した観測装置から海面ブイと衛星を経由してデータを陸上へ転送する,(3)これらと並行して津波電磁場の物理的性質を明らかにする為に数値シミュレーションを実施する,の三つからなる。 平成26年度は,(3)に基づき(1)の設置位置を決定し,さらに(1)に成功した。これらから,現時点で本研究はおおむね順調に進展している,と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
前項で述べたように研究目的(1)と(3)については初年度に一定の成果が上がったので,今後は研究目的(2)の実現に向け努力する。 具体的には,海面ブイと海底観測装置間の音響データ転送,および,海面ブイから衛星経由した陸上の研究室までのリアルタイムデータ転送について,機器の輸入代理店やその使用実績を持つ米国NOAAの関係者と協議しながら,その実現を目指す。
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Causes of Carryover |
海底観測装置の設置費用と海底観測装置の直上に設置する海面ブイのリース料を合わせると平成26年度の交付額では不足する為,平成26年度は海底観測装置の設置のみを行い,基金分を海底観測装置の設置に差し支えない範囲で可能な限り翌年度以降に繰り越した為。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
海底観測装置から電磁場と圧力変化の同時記録を陸上の研究室までリアルタイム転送する為に使用する予定。
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