2015 Fiscal Year Annual Research Report
細胞―材料界面と細胞膜表面の分子プロセス解析に基づく新しいバイオマテリアルの創成
Project/Area Number |
26282118
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
林 智広 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (30401574)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 正彦 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (50181003)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ナノバイオ / 生体材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度では局所ラマン分光を用いて人工材料上に形成されたタンパク質層内のタンパク質の構造解析を行う手法を確立した。特に、局所表面プラズモンを応用した生体分子の解析で問題となる金属ナノ構造の高温化を、温度の計測、加熱抑制の2つの技術を組み合わせて目標を達成した。特に、チオール分子を用いた温度上昇の解析法、ストークスーアンチストークスの2つのピークの比から温度を算出する手法の2つの解析法を開発し、タンパク質などの分子が変性する60℃近辺において、精度5℃以下で温度を計測する手法を確立した。また、光熱励振型の原子間力顕微鏡を開発し、分光学的解析に加え、ナノ力学解析のアプローチを用いたバイオインターフェースにおける分子認識サイトのナノスケールのマッピング技術も開発した。この手法はまず、固体基板上に固定したストレプトアビジン、探針に固定したビオチンの系で実現が実証され、細胞膜上の受容体タンパク質のマッピングなどにも応用可能である事が明らかとなった。 本研究ではラマン分光法による構造解析に加え、水晶振動子マイクロバランス法を用いた粘弾性測定による、タンパク質の構造変化の解析、MALDI-TOF Mass(マトリックス支援レーザー脱離イオン化法を用いた(飛行時間型質量分析法)を用いた足場タンパク質の同定までも達成した。その結果、有機薄膜の物理学的性質によってタンパク質の選別が行われることを確認した。 本研究を用いた研究成果は4件の招待講演、10報の投稿論文に帰結した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当該年度では、当初の目的である局所ラマン分光を用いた、細胞足場材料(タンパク質)および水和構造のラマン分光による解析のみならず、水晶振動子マイクロバランス法を用いた粘弾性測定による、タンパク質の構造変化の解析、MALDI-TOF Mass(マトリックス支援レーザー脱離イオン化法を用いた(飛行時間型質量分析法)を用いた足場タンパク質の同定までも達成した。また、レーザ光を用いてカンチレバーを励振する光熱励振型原子間力顕微鏡の開発にも成功し、細胞の足場を形成する分子の構造変化だけで無く、分子認識サイトのナノスケールマッピングにも成功した点が、当初の計画以上に進展している点である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では当初の達成目標である、分光学的・力学的なバイオインターフェースの解析に関しては、ほぼその解析手法を確立した。また、研究推進の際に、人工知能ネットワークを用いたデータ解析もバイオ界面の解析に有用である事が示されたので、今後も積極的に応用する予定である。さらに当該年度では実際の医療のニーズに対応していくことも視野に入れ、研究を遂行する。本課題は国際共同研究加速基金にも採択され、平成28年度はシンガポールナンヤン工科大学との連携で研究を遂行する予定である。
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Research Products
(36 results)