2015 Fiscal Year Annual Research Report
多階層医工学的解析に基づく心臓の機械受容システムの分子基盤と生理的意義の解明
Project/Area Number |
26282122
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
片野坂 友紀 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (60432639)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
毛利 聡 川崎医科大学, 医学部, 教授 (00294413)
金川 基 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00448044)
片野坂 公明 中部大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (50335006)
中村 一文 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (10335630)
氏原 嘉洋 川崎医科大学, 医学部, 助教 (80610021)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 心臓 / メカノセンサー / メカニカルストレス / 心肥大 / 心不全 / 血行動態 |
Outline of Annual Research Achievements |
心不全に至る原因や過程は一様ではないが、唯一、高血圧などの血行動態負荷は共通の引き金である。しかしながら、心筋細胞の機械刺激受容機構は未だ解明されておらず、その生理的役割や心肥大・心不全発症メカニズムが明らかにされていない。本研究では、メカノセンサー分子・細胞・臓器機能からの多階層医工学的評価に基づき、心臓の機械刺激受容機構を解明することを通して、心不全発症機構の分子基盤を明らかにした。機械刺激によって作動する心筋細胞自身からのオートクライン経路による機能維持機構を解析した。その結果、機械刺激(メカニカルストレス)に依存して、心筋細胞から成長因子が分泌されること、またその結果サバイバルシグナルが亢進されることが明らかとなった。さらに、このシグナルは、メカノセンサー分子の発現の有無に依存することも明らかとなった。このことは、心筋細胞が動きながら機能や形態を維持していることを示唆している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
心筋細胞自身のメカニカルフィードバック機構が明らかになってきただけでなく、他の臓器のメカニカル応答が心臓に与える影響についても解析が可能になってきた。最終年度に向けて、順調に興味深い課題が明らかとなり、ツールも整ってきたため、順調に進展しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、臓器機能や多臓器間連関に注目して、生体内で様々に変化する血行動態負荷に対して、心機能恒常性を保つしくみに迫る。これまでの実験から、メカノセンス複合体の実体や作動機序に加えて、生体内の血行動態負荷に対する細胞応答が明らかになってきている。これらの結果をもとに、負荷に対して速やかな応答をするための細胞内準備機構である心筋予備力獲得の分子機構を解明する。特に、心筋収縮に関わる細胞内Ca2+ハンドリング・エネルギー管理・サルコメアの動的恒常性を維持するしくみに注目する。
|
Causes of Carryover |
学内のマウス飼育施設が改装工事をおこなっていたため、マウスの飼育数が大幅に減り、飼育費用がかからなくなったため、分子生理実験を前倒ししておこなった。実験計画通りに使用しなかった経費は、来年度使用予定である。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度、使用マウス数に制限があり、一部の実験を最終年度にもちこすことになる。このため、受精卵からマウスのラインの立ち上げに一定の金額がかかるので、その費用とする。
|