2014 Fiscal Year Annual Research Report
ナノミクスが拓く次世代のメタボリックシンドローム治療
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26282132
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
梶本 和昭 北海道大学, 薬学研究科(研究院), 特任准教授 (10416216)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ナノテクノロジー / オミックス創薬 / メタボリックシンドローム |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、脂肪血管内皮細胞に対する新規標的化リガンドの候補として見出した16種類のDNAアプタマーについて、結合親和性解析を行い、より高い結合親和性を有する2種類のアプタマー配列を同定した。SELEX法により見出されたDNA配列はプライマー領域を含めて76merであり、脂肪血管内皮細胞に対する結合親和性を示す解離定数はおよそ200~250nM程度であったが、プライマー配列を除去した40merのDNAアプタマーの解離定数は100~130nM程度であることが明らかとなり、標的細胞との結合に不要な配列を除去することで結合親和性を約2倍高めることに成功した。また、これらのDNAアプタマーを静脈内投与したマウスの脂肪組織から抽出したDNAサンプルにおいて、投与したアプタマー配列の検出されたことから、これらのDNAアプタマーは培養系だけでなくin vivoにおいても脂肪組織の血管に対する標的化能を有することが明らかとなった。さらに、40merのDNAアプタマーをアミノリンカーを介してPEG化リン脂質と結合させ、これを用いてDNAアプタマー搭載ナノDDSのプロトタイプを構築し、in vivoにおける脂肪血管への移行能を確認した。さらに、in vivoにおける標的化能を向上させるため、ナノDDSに搭載するPEGの鎖長や修飾密度を最適化した。次いで、モデル薬物としてドキソルビシンを内包したDNAアプタマー搭載ナノDDSを構築し、マウスに尾静脈より投与した結果、脂肪組織の血管密度が有意に低下することも明らかとなり、in vivoで機能するDNAアプタマー搭載ナノDDSを構築することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、新規リガンドの開発と治療標的因子の機能解析を同時進行で展開する予定であったが、新規リガンドの開発にかかる研究において予想を上回る良好な結果が得られたため、そちらの研究を優先的に進め、計画していた以上の成果が得られた。その一方で、治療標的因子の機能解析については検討の準備は整っており、新しい医薬品化合物の候補分子を合成した段階であり、当初の計画よりも進行がやや遅れている。両者を相殺して、全体の達成度としては概ね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の進捗状況から、今後はナノDDSに搭載する新規多機能性医薬分子の開発にかかる研究にややウエイトをおいて全体の計画を進める。
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Causes of Carryover |
平成26年3月に実験に使用する物品を購入、納品されたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額(\96,993)については、平成26年度に実施した研究の物品購入の支払いに使用する。 平成27年度に請求する研究費は、主として治療標的因子の機能解析およびナノDDSに搭載する新規多機能性医薬分子の開発にかかる研究に使用する。
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