2014 Fiscal Year Annual Research Report
酸素供給型培養デバイスによる骨-血管複合組織体形成と応用
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26282133
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
穴田 貴久 東北大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (30398466)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 治 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (60374948)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 三次元培養 / 骨芽細胞 / 酸素濃度 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体外における三次元細胞組織体構築は、組織再生工学における重要課題のひとつである。しかし、通常、細胞を生体外で100マイクロメートル以上の厚みに積層すると内部酸素不足により壊死が起こることが問題点である。本研究は、独自開発した酸素透過性培養器を基盤とし、細胞塊中の壊死抑制と血管構築を行う。すなわち、生体外で「活きが良く、血の通った細胞組織体」を再構成する技術を提案し、骨再生治療へと応用を図る。当該培養器を用いることで直径600マイクロメートルの細胞塊でも壊死がほとんど起こらないことを見出している。このデバイスは応用性、汎用性が非常に高く、再生医療の中核技術の一つとして新たな領域形成の可能性を有する画期的技術である。 26年度は酸素透過性培養器にマウス間葉系幹細胞株であるD1細胞を播種し、培養器および培養条件の最適化を検討した。培養器に播種したD1細胞は迅速に球状塊を形成し、その大きさは播種細胞数を変化することによって変化した。骨芽細胞分化誘導培地を用いて細胞塊の骨芽細胞分化実験を行い、リアルタイムPCRによって骨分化マーカーであるアルカリホスファターゼ、コラーゲンI、オステオカルシンなどの発現を定量した。また、DNAチップによって骨代謝関連遺伝子の発現を酸素を平面培養及び透過しない培養器と比較した。その結果、酸素透過性培養器で培養した細胞塊は他の条件に比べて骨芽細胞への分化が促進され、軟骨細胞、脂肪細胞への分化が抑制される知見が得られた。間葉系幹細胞は、骨芽細胞、軟骨細胞、脂肪細胞へと容易に分化するが、低酸素状態に曝されると軟骨への分化が促進されることが報告されている。すなわち、MSCは、酸素分圧の違いによって分化に影響を受けることから、本培養システムを用いることで軟骨分化抑制し、迅速に骨芽細胞への分化が誘導されることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
骨芽細胞と血管内皮細胞のような異なる細胞を共培養する条件検討に時間を要しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
骨芽細胞の生存率を維持しつつ分化を促進することと血管内皮細胞による血管腔形成を促進する条件を検討し、異種細胞による大きな細胞塊形成条件を検討する。
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Causes of Carryover |
骨芽細胞と血管内皮細胞ような異なる細胞を共培養する条件検討に時間を要しているため計画から若干の遅れが出たため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
異種細胞の共培養条件の最適化を図り、共培養により発現上昇する分化マーカーやサイトカインなどの成長因子群の発現をリアルタイムPCRやDNAチップを使用して解析するための経費として使用する。
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