2016 Fiscal Year Annual Research Report
次世代ナノ結晶製剤の開発: 熱力学的理論計算によるスクリーニングと実験検証
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26282137
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
馬場 耕一 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄附講座准教授 (00436172)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋田 徳康 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30456959)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ナノバイオ材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的)製剤開発において薬剤の難水溶性化が進む現在、難水溶性に起因するバイオアベイラビリティ(生物学的利用能)低下の問題等を改善する、ナノ結晶製剤(Drug Nanocrystal)への関心が急速に高まっている。申請者らは、薬剤ナノ結晶の作製と薬理効果の評価について一定の実績を上げてきたが、これらは実験的経験則に基づく限られた成果であり、今後より発展的に研究展開するには理論導入による一般化が必要である。本研究課題では、これまでの研究成果を発展させるため、1)理論計算化学によるアプローチを新規導入し、2)理論を実験検証し、3)高性能・高品質の次世代型ナノ結晶水分散製剤開発することで、新たな基盤技術の創成を行う。平成28年度に主に実施した研究内容と成果としては、我々の作製したステロイド系のナノ結晶点眼液と市販のステロイド系の懸濁型の点眼液とにおいて、薬剤の眼内移行性において差が生じるかを評価した。その結果、我々の開発したステロイド系ナノ結晶点眼液は市販のステロイド系懸濁製剤よりも眼内移行性が高いことが示唆され詳細を検証中である。眼内移行性に差が生じる理由としては、我々の作製したナノ結晶点眼液は薬剤の粒子サイズが200nm近傍にある。一方で市販の懸濁型点眼液は一般にその粒子サイズが数μmにあるとされており、薬剤移行性の差は粒子径の差によると考えている。すなわち我々の作製したナノ結晶薬剤の方が市販の懸濁製剤の粒子よりも粒子サイズが小さいため、薬剤の眼内移行性が高まったと考えている。本成果を元に平成29年度においても詳細を検討予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度の計画では、疾患モデル動物を用いた薬理効果の検証を予定していたが、先立ち、熱力学的理論計算ソフトを用いた薬剤の細胞膜透過性に関するスクリーニングの十分な検証と整理も合わせて必要と考えている。またステロイド系薬剤のナノ結晶点眼液の作製と薬理効果の評価において一定の成果を得ているが詳細の検討も必要である。従って平成29年度には、当初計画の目標を達成できるために必要な実験を追加し実施予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
特にステロイド系薬剤のナノ結晶点眼液の作製と薬理効果の評価において一定の成果を得ているが詳細の検討も必要である。薬剤のスクリーニングの十分な検証と整理も合わせ、平成29年度には、当初計画の目標を達成できるために必要なこれらの実験を追加し実施予定である。
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Causes of Carryover |
平成28年度の計画では、疾患モデル動物を用いた薬理効果の検証を予定していたが、先立ち、熱力学的理論計算ソフトを用いた薬剤の細胞膜透過性に関するスクリーニングの十分な検証と整理も合わせて必要と考えている。またステロイド系薬剤のナノ結晶点眼液の作製と薬理効果の評価において一定の成果を得ているが詳細の検討も必要である。これらの研究課題をH29年度に実施する必要がある為、本課題申請に係る必要経費を次年度に使用する予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
特にステロイド系薬剤のナノ結晶点眼液の作製と薬理効果の評価において一定の成果を得ているが詳細の検討も必要である。薬剤のスクリーニングの十分な検証と整理も合わせ、平成29年度には、当初計画の目標を達成できるために必要な当該実験を追加し、その実験の遂行を主として経費を使用する予定である。また得られた研究成果について論文投稿や学会活動関連に経費を使用する予定である。
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