2014 Fiscal Year Annual Research Report
生体外での増殖・浸潤・転移挙動評価を可能とする革新的ヒト3次元腫瘍モデルの創製
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26282138
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松崎 典弥 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00419467)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤木 隆美 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00527236)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 組織工学 / 再生医療 / 三次元腫瘍モデル / 脈管構造 / 薬効評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は、「腫瘍細胞の増殖・浸潤性と周辺細胞への影響の評価」、「免疫不全マウスへの腫瘍細胞の移植実験」に取り組んだ。 「腫瘍細胞の増殖・浸潤性と周辺細胞への影響の評価」では、癌性腹膜炎モデルとしての可能性を評価した。具体的には、癌性腹膜炎を引き起こす膵癌細胞と結腸癌細胞を用い、3次元線維芽細胞組織体の表面へ接着させ、その後の挙動を経時的かつ定量的に解析した。その結果、癌細胞の性質に応じて異なる浸潤挙動が観察された。血行性転移の膵癌細胞は、毛細血管網へ侵入して移動する、血行性転移類似の挙動が確認された。また、リンパ行性転移の膵がん細胞では、血管網に対してはアポトーシスを誘導するのに対し、リンパ管網には侵入して移動する、リンパ行性転移類似の挙動を示した。癌細胞の性質に応じた血行性・リンパ行性転移の生体外での再現は、世界で初めての報告である。 「免疫不全マウスへの腫瘍細胞の移植実験」では、同じ癌細胞を免疫不全マウスの腹膜に移植した。マウスの腹部の一部を開腹し、人為的に創傷部を作製して閉腹した。1日後に創傷部へ癌細胞を移植して生着させた。初期的な挙動を明らかにする目的で、1週間までの経過を病理学的に評価した。抗サイトケラチン抗体を用いた癌細胞の免疫染色より、腫瘍組織の形態とサイズを組織学的かつ定量的に解析した。抗CD31抗体による毛細血管の免疫染色より、腫瘍組織内部と周辺の創傷治癒部における毛細血管数を定量評価した。また、抗CD31抗体の免疫染色で血管による腫瘍細胞の影響の違いが見出された。さらに、生体外での浸潤・転移十実験の結果と動物実験の結果を比較したところ、癌細胞の浸潤と脈管への影響に相関がみられた。以上より、動物実験と類似の傾向を評価できる生体外モデルとしての有効性を明らかにした。 これらの結果より、本年度は計画通り研究を推進することができたと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は計画通り研究を進めることができた。 「腫瘍細胞の増殖・浸潤性と周辺細胞への影響の評価」では、癌細胞の性質に応じた血行性・リンパ行性転移挙動を生体外で、世界で初めて再現することに成功した。「免疫不全マウスへの腫瘍細胞の移植実験」では、生体外モデルが動物実験と類似の浸潤・転移の傾向を示すことを見出し、生体外の腫瘍モデルとしての有効性を明らかにした。 以上より、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在のところ、大きな課題は見られないため、予定通り進める予定である。
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Causes of Carryover |
効率良く研究を進めることができたため。次年度の研究を加速できる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究を加速するために必要な備品の購入を予定している。
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Research Products
(16 results)