2015 Fiscal Year Annual Research Report
生体外での増殖・浸潤・転移挙動評価を可能とする革新的ヒト3次元腫瘍モデルの創製
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26282138
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松崎 典弥 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00419467)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤木 隆美 大阪大学, 生命機能研究科, 研究員 (00527236)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 組織工学 / 再生医療 / 三次元腫瘍モデル / 脈管構造 / 薬効評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
H27年度は、「毛細血管・リンパ管構造への腫瘍細胞の転移評価」、「免疫不全マウスを用いた腫瘍細胞の転移実験」に取り組んだ。 「毛細血管・リンパ管構造への腫瘍細胞の転移評価」では、ヒト膵がん血行性転移株であるMiaPaCa-2が毛細血管網へ侵入し、リンパ行性転移株であるBxPC3がヒト膵がん毛細リンパ管網へ侵入する様子を確認した。両がん細胞とも侵入後に移動し、さらに脈管から侵出する挙動も一部観察された。また、マウスへの移植を8回繰り返すことで転移を加速させた舌がんの高転移株を用いると、通常の舌がん細胞より有意に脈管へ接近し、侵入しやすいことが確認された。がん細胞の転移予測モデルとして期待される。 「免疫不全マウスを用いた腫瘍細胞の転移実験」では、上述の膵がん細胞を腹膜に移植することで、それぞれのがん細胞の性質に応じた転移性が観察された。また、これまでの文献でも、血行性転移株の場合は肺転移や肝転移が、リンパ行性転移株の場合はリンパ節への転移が報告されているため、得られた結果は妥当と考えられる。 以上より、本年度も計画どおり研究を推進できた。本研究で構築した3次元腫瘍モデルが、がん細胞の性質に応じた転移性を生体外で予測可能な新しい診断システムとして有効であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「毛細血管・リンパ管構造への腫瘍細胞の転移評価」では、膵がん株化細胞の性質に応じた脈管への侵入、移動、侵出の転移に関する一連の挙動が確認された。また、舌がんの高転移株を用いると、通常の舌がん細胞より有意に脈管へ接近し、侵入しやすいことを生体外モデルでも確認した。「免疫不全マウスを用いた腫瘍細胞の転移実験」では、上述の膵がん細胞を腹膜に移植することで、それぞれのがん細胞の性質に応じた転移性を確認した。 以上より、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、大きな課題は見られないため計画通り進める予定である。 これまでの知見を基に、癌性腹膜炎の生体外モデルとして動物実験ともある程度の類似性が得られると期待される。そこで、実際に抗癌剤等を添加し、腫瘍組織の体積変化や生存細胞数の減少より、抗腫瘍効果を評価する。 昨年までの知見より、腫瘍細胞を添加してから増殖・浸潤するまでの培養日数より、腫瘍組織の大きさと血管網やリンパ管網、線維芽細胞への影響などが異なるステージの癌性腹膜炎モデルを作り分けることが可能である。そこで、「増殖初期モデル」、「浸潤中期モデル」、「転移後期モデル」の3種類に対して抗癌剤を添加し、抗腫瘍効果を詳細に検討する。
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Causes of Carryover |
効率よく研究を進めることができたため。次年度の研究を加速できる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究を加速するために必要な備品の購入を予定している。
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Research Products
(25 results)