2014 Fiscal Year Annual Research Report
動脈壁内膜側粗さの超音波高精度計測による動脈硬化症の極早期診断の応用に関する研究
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26282140
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
金井 浩 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10185895)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高瀬 圭 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60361094)
長谷川 英之 東北大学, 医工学研究科, 准教授 (00344698)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 医用超音波計測 / 粗さ計測 / 動脈硬化 / 動脈内皮機能 / 動脈壁内弾性板欠損 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)逆フィルタによる空間分解能向上の検討:空間分解能を向上させるため,Wienerフィルタに基づく逆フィルタの設計を検討し,超音波ビームに沿った方向(axial方向)と動脈に沿った方向(lateral方向)の両方向の空間分解能の向上を図った。フィルタを施したデータに関して以下の処理を行った。 (2)動脈壁内側の曲面に沿って粗さ推定を行なう,生体に臨床応用可能な計測システムの設計・製作:ヒト生体in vivo実験への適用のため,以下の原理的な検討を行った。 1.血管壁と皮膚の間の結合組織における音速不均一性の影響の除去が可能であることを,原理的に示すため,水槽中のシリコーンファントムの壁と超音波トランスジューサの間に音速の不均一な模擬組織を設置し,提案方法によって音速不均一性の影響を原理的に除くことが可能であることを示した。 2.拍動による半径方向の変位を相殺するため,多数ビームを用いてそのデータ解析によって,軸方向の変位成分のみを計測し,粗さ推定ができることを,模擬実験で示した。 3.血管軸方向の広い領域にわたる粗さ推定を可能にするため,多数の超音波ビームを用いる。超音波ビーム間隔(約150ミクロン)は,1拍内で血管が自ら移動する距離よりも十分小さいから,重なりを利用すれば超音波プローブの範囲(30mm)に関する表面粗さを一度に計測できる。特に繋ぎ目の連続性など,この原理を模擬実験によって確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では, 4.動脈壁内側の曲面に沿う2次元曲面上での粗さ推定を可能とするため,計測法を拡張し,計測システムを設計を行う 予定があったが,装置の準備に手間取り,ここまでは達成することができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
(3)精度評価,計測の限界を見極める模擬実験 1.水槽中に,直径10ミクロンの細い金属線を設置して,線状散乱体とし,その直角方向に超音波プローブを走査し,粗さ推定方法の空間分解能・限界の評価を行う。2.段差30ミクロンのノコギリ刃状の表面粗さをもつアルミの試料を作り,そこにシリコーンゴムを流し込み,ノコギリ刃状の表面粗さをもつシリコーンファントムを作成し,表面粗さの推定実験を行い,精度の定量的評価を行なう。3.そのファントムを超音波トランスジューサに対して傾け,試料のアライメントが完全でない場合に生じる面の傾きのバイアス成分の影響を除くための手法を新たに開発し,その評価を行なう。4.内面をサンドペーパーによって粗くしたシリコーン管を水槽に設置し,その内面の表面粗さを,超音波を用いて計測する。その後,シリコーン管を切断しレーザ変位計を2次元平面内で走査して,面の粗さ計測を行い,超音波による計測結果との比較を行なって,2次元粗さ分布計測に関する精度評価を行なう。5.上の4.の実験において,サンドペーパーの粗さを細かくしていき,各々について精度評価を行なって,粗さ計測の限界を見極める。
(4) In vivo 実験・臨床応用への準備 1.in vivoに適用するために,適用する血管と超音波プローブの走査方法などを検討する。 2.生体へ適用し,心電同期で超音波プローブを走査するため,心電信号計測システムを導入し,心電信号をA/D変換器を介して,計測制御システムに入力し,心電図R波から一定の時間遅延後に超音波プローブを,奥行き方向に走査する。走査幅は,超音波の焦域の2倍相当の約1mmである。したがって,頸動脈の直径10mm程度の範囲にわたって表面粗さを求めるには,10拍分のデータが必要となる。このデータ収集を計測制御システムで制御し,得られた超音波RFデータをもとに,血管壁の内曲面に沿った粗さ推定を表示する。
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Causes of Carryover |
研究を進めたところ,精度向上のためには,高周波の超音波計測装置が必要であることが分かったが,高価であり単年度の予算では購入できないため,次年度に予算の一部を組み込んで購入することにしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は,高周波の超音波計測装置を用いて,以下の実験を行う。(1)精度評価,計測の限界を見極める模擬実験 1.水槽中に,直径10ミクロンの細い金属線を設置して,粗さ推定方法の空間分解能・限界の評価を行う。2.ノコギリ刃状の表面粗さをもつシリコーンファントムを用いて表面粗さの推定実験を行い,精度の定量的評価を行なう。3.試料のアライメントが完全でない場合に生じる面の傾きのバイアス成分の影響を除くための手法を新たに開発し評価を行なう。4.内面を粗くしたシリコーン管の内面の表面粗さを計測し,精度評価を行なう。 (2)In vivo 実験・臨床応用への適用方法を検討し,血管壁の内曲面に沿った粗さ推定を表示する。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Low-Intensity Pulsed Ultrasound Induces Angiogenesis and Ameliorates Left Ventricular Dysfunction in a Porcine Model of Chronic Myocardial Ischemia2014
Author(s)
Kenichiro Hanawa, Kenta Ito, Kentaro Aizawa, Tomohiko Shindo, Kensuke Nishimiya, Yuhi Hasebe, Ryuji Tuburaya, Hideyuki Hasegawa, Satoshi Yasuda, Hiroshi Kanai, Hiroaki Shimokawa
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Journal Title
PLOS ONE
Volume: 9
Pages: 1-11
DOI
Peer Reviewed
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