2014 Fiscal Year Annual Research Report
進行性臓器障害におけるリハビリテーション運動療法の有効性の機序解明
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26282152
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 修 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00361072)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 信芳 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50463790)
上月 正博 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70234698)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | リハビリテーション / 循環器・高血圧 / 腎臓 / ストレス / 細胞・組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
運動療法は、心臓機能・腎臓機能・呼吸器機能・肝臓機能障害等の内部障害者への有効なリハビリテーションとして行われており、心機能・換気機能・末梢循環の改善、骨格筋の適応等によって運動耐容能を向上し、自律神経機能も改善する。運動療法は軽症・中等症患者のみならず、重症患者においてもその有効性が近年示されている。進行性臓器障害における運動療法の有効性の機序を解明することを目的に、食塩負荷による高血圧に伴う腎障害や心不全等の臓器障害を早期に発症するDahl食塩感受性ラットの6週齢雄を、通常食塩食(NS: 0.6%NaCl)群、高食塩食(HS: 8%NaCl)群、NS+長期的運動(Ex)群、HS+Ex群の4群に分け、運動群に対してはトレッドミル運動(20 m/分、60 分、6 回/週)を8週間施行した。介入後、腎RA系の蛋白発現をWestern blot法により検討した。HSは著明な高血圧を誘発したが、Exは血圧に影響を与えなかった。HSは血清クレアチニンと尿蛋白を増加し、糸球体硬化を誘発し、ExはこれらのHSによる腎障害を有意に抑制した。AngiotensinogenはHSにより増加し、Exにより髄質でのみ有意に減少した。ReninはHSにより両部分で減少し、Exにより有意に増加した。Angiotensin II 1型(AT1)受容体はHSにより髄質でのみ増加し、ExはこのHSによる増加を有意に減少した。Angiotensin II 2型(AT2)受容体はHSにより両部分で減少し、Exにより髄質でのみ有意に増加した。Angiotensin-(1-7)の受容体であるMas受容体はHSにより皮質で増加、髄質で減少し、Exにより髄質でのみ有意に増加した。ExはHSにより生じた腎障害を血圧非依存性に改善し、HSによるRA系変化を特に髄質で回復させる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
主たる目的である長期的運動の腎保護効果の機序の解明に関して、RA系への長期的運動の影響を明らかにすることができた。今後は、薬物療法との併用効果についても検討を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度のDahl食塩感受性ラットにおける長期的運動の有効性の機序の詳細を明らかにすると同時に、腎不全ラットにおける長期的運動の有効性の機序について、nitric oxide系、レニン-アンジオテンシン系、交感神経系、酸化ストレス等の検討を行う予定である。
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