2014 Fiscal Year Annual Research Report
非侵襲脳刺激による知覚運動連関にかかわる神経ダイナミクスと情報流の制御
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26282169
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
北城 圭一 独立行政法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 副チームリーダー (70302601)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鮫島 和行 玉川大学, 脳科学研究所, 准教授 (30395131)
川崎 真弘 筑波大学, システム情報系, 助教 (40513370)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 脳・神経 / 経頭蓋磁気刺激 / 経頭蓋電気刺激 / 脳活動計測 / 振動同期ダイナミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は非侵襲脳刺激により脳の大域的なネットワークの変調とその機能的影響を明らかにすることが目的である。具体的には経頭蓋磁気刺激、経頭蓋電気刺激により引き起こされるヒト、サルの脳活動の大域的な振動同期ダイナミクスの変化と知覚運動連関にかかわる領野間の情報流の計測、定量化を行う。これにより脳の大域的な振動同期ダイナミクス、及び情報流と、知覚運動連関との因果関係を操作的に検証する。 26年度はヒトの脳刺激実験については連発経頭蓋磁気刺激ー脳波計測データの解析を中心に進めた。経頭蓋磁気刺激の脳波アーチファクト除去については独立成分分析を用いた手法の大きな進展が得られた。この手法を用いてアーチファクトを脳波から除去し、複数の磁気刺激刺激周波数での実験データの解析を進めた。運動野、視覚野刺激による刺激周波数に対応する脳波の瞬時位相が磁気刺激タイミングに引き込まれることを明らかにした。またこの引き込み現象は刺激部位から他の部位へ大域的に伝播することも明らかになった。またワーキングメモリ課題時の単発経頭蓋磁気刺激-脳波計測データの時間周波数解析により課題依存性の大域的位相ネットワークの変調についても実証した。 サルの実験については前頭葉に多層の同時記録が可能な電極を埋め込み、局所場電位と神経発火の記録に成功した。多層の局所場電位の位相振幅カップリングや発火タイミングの変調についての時間周波数解析を進めた。その結果、局所場電位の位相振幅カップリング、及び、発火タイミングの局所場電位による変調を実証した。さらに経頭蓋電気刺激用の電極の装着に成功し刺激実験の準備を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト実験に関しておおむね順調に進行している。サル実験に関しては記録については予定通りである。サルの脳刺激に関して経頭蓋磁気刺激よりも経頭蓋電気刺激の方が技術的に簡単と判断したため経頭蓋電気刺激実験を前倒しして優先した。ヒトとサルの非侵襲脳刺激により脳の大域的なネットワークの変調とその機能的影響を明らかにするという目的と照らし合わせて全体としてみた場合おおむね順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒトについては今後経頭蓋電気刺激-脳波実験を進める。具体的には頭皮上の二つの部位に電極を置き、微弱な経頭蓋電気刺激を行い、刺激の前後(オフライン)、刺激中(オンライン)の脳波解析を進める。これにより経頭蓋電気刺激による脳波の大域的同期ダイナミクスや情報流の変調を検証する。オンライン実験ではアーチファクトの軽減技術の開発が大きな課題であると考えている。さらに電極配置、電流強度、周波数等の刺激パラメータを最適化することにより位相同期ダイナミクスと情報流、及び、関連する脳機能の変調を実証する。 サルについては経頭蓋電気刺激、磁気刺激の実験系の構築を進め、脳刺激時のマルチスケール同時計測と解析を進める。解析についてはマルチスケールでの神経活動間での関係を定量化する。さらに簡単な知覚運動課題時の機能の変調について実証を進める。脳刺激時のアーチファクト軽減がオンラインでの実験に関して、大きな課題であることが予想できるが、ヒト実験で開発した信号処理方法の流用やサルの磁気刺激システムの工夫により対応をする。オフラインでの実験とデータ解析から開始し、オンラインで刺激時の計測と解析を目指す。
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Causes of Carryover |
4チャンネルの電気刺激システムを購入予定であったが、予算が充足しておらず購入が難しく1チャンネルの装置の購入を行った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現有の電流刺激装置で刺激電極の工夫を行い、多チャンネルの刺激手法を開発するための消耗品等での予算使用を考えている。技術的に難しい場合、もう一台の1チャンネル装置の購入を検討する。
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