2014 Fiscal Year Annual Research Report
オリンピック・レガシーとしてのスマート・ベニュー整備
Project/Area Number |
26282178
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
間野 義之 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (90350438)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | オリンピック / 後利用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、過去のオリンピック・パラリンピック競技大会の競技会場や選手村、プレスセンター等の大会終了後の後利用(レガシーモード)について、ロンドン、シドニー、ソウルをケースに実地調査を行った。 特に、IOCから「将来の開催都市のためのレガシーのブループリントを作りだした」とも評されるロンドン、あるいはロンドンが多くの参考にしたシドニーの事例は、施設の大会仕様よりもレガシーモードこそが熟慮すべき事柄であることを教訓として与えてくれた。約50年という施設の耐用年数を考えると、スポーツイベントの開催日数はその1%にも満たない。そのためスポーツイベントを契機に新設される施設は、「レガシーモードという土台を前提に、大会開催に必要な要件を添える」という発想を常に持つべきであると考えられた。そのためには、設計段階から運営組織や主要テナントが参画できるような設えを整えることが重要であった。これは施設をスマート・ベニューに近づける複合化や多目的化を円滑にするだけでなく、イベントプロモーターなどの使用者にとっても有益であると考えられる。ただし、ハード面の充実だけでは見かけ倒しになってしまい兼ねないため、積極的なプログラム開発や、行政による戦略的なイベント誘致へのコミットメントを両輪で行ってこそ、後世にとっての負担になることなくポジティブなレガシーとして継続的な発展が可能となるということが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
海外実地調査は予定通り遂行した。国内の社会調査の研究デザインを再考しているため、当初の予定よりやや遅れいている。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き、競技会場や選手村等の後利用について網羅的・体系的な整理をするために、過去のオリンピック開催都市を訪問する。資料の収集や実地調査を通じて、競技会場の後利用における以下の内容を明らかにする。①レガシーモードの実態、②レガシーモードのタイプ、③レガシーモードの整備手法、④レガシーモードのファイナンス(資金調達等)、⑤レガシーモードの事前計画、⑥レガシーモードの工夫や課題、⑦施設概要。
|
Causes of Carryover |
予定していた社会調査の実施ができなかったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
調査デザインを再考し、適切に使用する。
|