2015 Fiscal Year Annual Research Report
体罰の比較文化史研究―暴力なきスポーツ界の思想的基盤構築に向けて―
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26282179
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
石井 昌幸 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 准教授 (60336914)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志村 真幸 京都外国語短期大学, その他部局等, その他 (00625204)
向井 直己 京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 研究員 (00725400)
小関 隆 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (10240748)
中村 哲也 高知大学, その他の研究科, 准教授 (10712284)
熊谷 哲哉 近畿大学, 経営学部, 講師 (20567797)
鈴木 康史 奈良女子大学, その他部局等, 准教授 (40323282)
布施 将夫 京都外国語短期大学, その他部局等, 講師 (70633436)
安田 忠典 関西大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (90388413)
堀内 隆行 金沢大学, 歴史言語文化学系, 准教授 (90568346)
小林 久美子 京都外国語大学, 外国語学部, その他 (60754819)
坂元 正樹 神戸市外国語大学, 付置研究所, 研究員 (80625301)
寺尾 智史 宮崎大学, 教育文化学部, 准教授 (30457030)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | スポーツ史 / 体罰 / 日本史 / 西洋史 / 教育史 / スポーツ指導 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の歴史学的研究に加えて、本年度は指導実践の現場からの聞き取りを行い、体罰なき指導を妨げている問題点について検討した。すなわち、レスリング(安田)、野球(中村)、フェンシング(中田)等のスポーツ団体から意見を聞き、体罰の実態、現行の対処法、当事者の意識について聞き取りを行った。 また、国際的な視点からみた日本の体罰の位置を浮き彫りにするために、当初の計画どおり国際シンポジウム「体罰なきスポーツ界を目指して:日韓仏の現状と対策」(2016年3月19日(土)13時~17時、早稲田大学1号館301教室)を開催した。研究代表者である石井昌幸が司会を務め、アメリカからアーロン・ミラー氏、韓国から羅永一氏、フランスからエイリック・プレラ氏を招いて、シンポジストとして登壇していただいた。ミラー氏は「日本のスポーツ界における体罰の構造」、羅氏は「韓国スポーツ界における体罰の現状と対策」、プレラ氏は「フランスの学校における体罰の現状と対策」と題する報告を行い、次いでフロアも含めてのディスカッションを行った。当日は100名を超える来場者があり、ディスカッションも非常に活発なものであった。アメリカ人学者が見た日本の体罰の構造的特質、韓国における体罰の実態とその克服の試み、フランス教育思想から見た体罰否定の思想的根拠などが明らかにされ、本年度の中心事業として、ふさわしいものとなった。 各国、時代、社会構造などによる違い、さらには体罰撲滅の実例が明らかとなったことで、2016年度の「体罰なきスポーツ指導」ワークショップ開催への基礎的な理解の構築が達成できたと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H26年度、および、27年度において、当初計画していた国内調査、国外調査をおおむね終了することができたが、現時点で2名は勤務先、および、家庭の事情から調査を終えていない。H27年度には当初の計画通り、アメリカ、韓国、フランス3カ国から講師を招いて、国際シンポジウムを開催した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、H28年度は体罰なきスポーツ指導モデルを構築するためのワークショップを開催する。関西大学の安田忠典が中心となって、スポーツ団体と連携のもと、現場の指導者を対象にして、体罰なきスポーツ指導を実践するためのワークショップを関西大学で開催する。また、H28年度は、研究計画の最終年度にあたるため、未調査のものについては確実に調査を遂行するとともに、H26年度およびH27年度に行なった国外調査、国内調査の成果を学会発表、論文、著書等の成果としてまとめ、公表する。
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Causes of Carryover |
国外調査を予定していた研究分担者の北岡幸代(ドイツ)、および川口美奈子(イギリス)が日程の関係上、調査を行う事ができなかったため、次年度使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
北岡幸代は、当初の計画通り、今年度中にドイツで国外調査を実施する。川口美奈子は、勤務先および家庭の事情のため、海外調査を中止することとなった。川口が使用する予定だった予算については、研究打合せに交通費が必要な中村哲也と中田浩司の旅費として使用する予定である。
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Research Products
(20 results)