2015 Fiscal Year Annual Research Report
環状デプシペプチド天然物を主軸とする創薬化学基盤技術開発
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26282208
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
土井 隆行 東北大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (90212076)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 環状デプシペプチド / 天然物 / 有機合成 / コンビナトリアル合成 / 三次元構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)アプラトキシンA類縁体の合成,三次元構造活性相関,ミメティクス創製 アプラトキシンAの類縁体を全合成し,NMRによる二次元測定を行なった.ROEの強度およびカップリング定数をもとに拘束条件を用い,Macromodelを用いた立体配座解析を行なって溶液中での三次元構造を明らかにすることができた.そして,ガン細胞に対する細胞毒性との活性相関についてアプラトキシンAと同じ三次元構造をとるものは,同様に強い細胞毒性を発生するが,N-メチルアミノ酸周りのcis-アミドとtrans-アミドの割合は,細胞毒性とは比例しないことがわかった.さらに,チアゾリンーα,βー不飽和アミド部位を代替した類縁体についてアプラトキシンA様の強い細胞毒性をもつものを見出した. (2)デストラキシンEの類縁体合成,三次元構造活性相関,立体配座解析法の確立 デストラキシンEは19員環デプシペプチドである.構成アミノ酸の一つであるβーアラニンをグリシン,およびγーアミノブタン酸で代替した18員環,および20員環の類縁体を全合成し,破骨細胞に対する形態変化を評価した.その結果,20員環類縁体では活性が大きく減弱し,18員環類縁体ではほぼ消失することがわかった.NMRによるNOE情報をもとした拘束条件のもと立体配座解析を行なった結果,いずれもN-メチルバリンーN-メチルアラニンのアミド結合がs-cisをとるという特徴的な構造をとり,環全体の立体配座はほとんど変わらないものの,環の員数の違いにより側鎖のエポキシドが取りうる空間が異なっており,これが活性発現に大きく関わっていることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アプラトキシンAについてガン細胞に対する細胞毒性を維持した骨格改変型類縁体を創製することができ,その立体配座から重要な三次元構造を明らかにすることができた.デストラキシンEについても破骨細胞の形態変化を引き起こすための活性発現に重要な部位とその立体的空間配置を明らかにすることができた.予定どおり順調に研究が進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
アプラトキシンAについては,骨格改変型類縁体についてさらに側鎖を替えたものを合成して,より活性の強い類縁体を見出す.さらにNMRによる拘束条件がなくても計算化学だけを用いて溶液中の立体配座を予測できる方法を確立したいと考えている.デストラキシンEについては見出した立体配座が活性発現に必須であるのか,分子内水素結合が生じない化合物を合成して検証したいと考えている.
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Research Products
(11 results)