2014 Fiscal Year Annual Research Report
自然免疫-獲得免疫を制御する外因性・内因性分子の合成と機能解析、新規制御分子創製
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26282211
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
藤本 ゆかり 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (00362616)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井貫 晋輔 慶應義塾大学, 理工学部, 助教 (70736272)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 複合糖質 / 複合脂質 / 有機合成 / 免疫調節 / 自然免疫 / 獲得免疫 / 国際研究者交流 / アメリカ:イタリア:イギリス:ドイツ |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫機構の制御は、癌や感染症、アレルギー疾患等を含む多くの疾患の理解と治療に繋がることからその解明・展開が期待されている。本研究においては、申請者の確立してきた種々の自然免疫受容体リガンドの合成・機能解析による知見と合成分子ライブラリを基盤とし、自然免疫―獲得免疫の連携を担う外因性および内因性分子の化学合成法開発と機能解析さらには新規制御分子創製を目指している。そのため、2014年度は、新規構造を持つ自然免疫受容体リガンドの探索および解析を行い、特に腸管免疫に寄与していると考えられる細菌表層成分の解析を行い興味深い結果を得た。現在さらに詳細な解析を行うとともに、合成研究についても準備を進めている。また、自然界に存在し、免疫調節に関わると考えられる外因性分子として微生物由来の複合脂質、複合糖質に注目し、合成例のない化合物を中心に化学合成法の開発を行い、得られた手法を元に全合成を達成した。得られた化合物については、免疫調節作用の解析を進めており、非常に興味深い結果が得られている。一方、感染症や癌等の疾患治療の基盤となる免疫機能調節可能な複合型分子創製を行い、合成癌ワクチンのプロトタイプの合成を行った。また、免疫調節のための複合化分子に分子プローブとしての機能を付加することにより免疫活性化機構の詳細な解析が可能な分子を得るため、複合化手法の検討を行うと共に、モデル分子を用い疎水性部位への蛍光標識化を行い、問題なく活性発現がみられることを確認した。当該年度において順調に成果が得られたことから、次年度はこられの知見に基づき、免疫制御機構解析と制御を可能とする分子の設計・合成・解析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画の目標を概ね順調に達成しており、24件の学会報告を行った。また、数件の論文発表も行っているが、現在、2014年度の成果に基づいた内容についてさらに数件投稿準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
自然免疫-獲得免疫機構を制御する外因性・内因性分子についてその構造と合成および機能について解明するため、前年度に引き続き、下記の項目について各々の研究を進展させる。 I.外因性および内因性の免疫調節作用を持つ化合物の合成と機能解析 1)腸管免疫調節に関わる細菌についての新規免疫調節性分子の解析と合成を行う。2)細菌細胞壁成分ペプチドグリカン(PGN)の効率的合成法開発とライブラリ構築および認識タンパク質解析:結核菌型あるいは長鎖型のPGNについて、分子ライブラリの構築を行い、生物活性の測定と、種々の認識タンパク質との結合強度の解析を行う。結核菌型のPGNについて、特にNod1/Nod2を介した免疫刺激活性を解析すると共に、結核菌由来の細胞壁構築に関わる酵素との結合解析を行う。3)脂質受容体リガンドの合成と機能解析:汎用的なイノシトールリン脂質合成法の開発を行い、外因性および内因性リガンド探索への展開を行う。 3)微生物由来複合脂質・糖質の新規合成と機能解析:生体内における重要性にもかかわらずその詳細が未解明な複合脂質について、免疫調節および関連する炎症、細胞死における役割解明を目指し、特に細菌型のリン脂質の新規合成法開発とその生物活性の解析を行う。 II.獲得免疫の制御を目指した複合型分子の創製:免疫アジュバント部分の複合化手法の開発とその相乗作用現象の解析を行うとともに、抗癌ワクチンとしての新規複合分子創製を行う。
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Causes of Carryover |
当初の研究計画において初年度である2014年度は、申請者の所属機関の移動のため実験装置および器具購入に費用が掛かると予想されたことから、初年度予算比率を高く設定していた。2014年度に必要な設備をほぼ設置できたことから、基金分(5,000千円)のうち多少の費用(660千円)を翌年度分として使用することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
特に有機化学実験および生物活性測定実験を行うための消耗品費として用いるほか、研究成果公表のための英文校正費用等として用いる予定である。
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Research Products
(31 results)
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[Presentation] Synthesis of Inositol Phospholipids as an NKT Cell Modulator2014
Author(s)
Toshihiko Aiba, Masaki Sato, Daichi Umegaki, Shou Nakagawa, Shinji Tanaka, Masato Kitamura, Shinsuke Inuki, Koichi Fukase, Yukari Fujimoto
Organizer
Joint Meeting of the Society for Glycobiology (SFG) and the Japanese Society of Carbohydrate Research (JSCR) (SFG-JSCR 2014)
Place of Presentation
Honolulu(USA)
Year and Date
2014-11-16 – 2014-11-19
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