2014 Fiscal Year Annual Research Report
生体機能光制御分子の創製と細胞機能精密制御への応用
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26282212
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
戸嶋 一敦 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (60217502)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 生体機能分子 / タンパク / 糖鎖 / 光分解 / ノロウイルス / レクチン / 糖タンパク / 細胞毒性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の初年度においては、疾患関連タンパク及び糖鎖を選択的に光分解する新たな生体機能光制御分子の創製とそれらを用いた細胞機能制御に関して以下のことを行った。 1)疾患関連標的タンパクを選択的に光分解する新規生体機能光制御分子の創製:ノロウィルス関連タンパクVP-1の選択的光分解を指向し、申請者らが見出した、タンパクを光分解する小分子化合物であるスルホ基を有する水溶性アントラキノンと、ノロウィルスが宿主細胞に感染する際の糖鎖抗原であるL-フコースを非還元末端に有するH-抗原糖鎖とをハイブリッド化した生体機能光制御分子を合成した。さらに、本ハイブリッド分子が、ノロウィルスのカプシドを構成するタンパクであるVP-1を選択的かつ効果的に光分解することを見出した。 2)疾病関連標的糖鎖を選択的に光分解する新規生体機能光制御分子の創製:肝がん関連糖鎖α1-6-フコース糖鎖の選択的光分解を指向し、申請者らが見出した、糖鎖を光分解する小分子化合物である2-ヒドロキシメチルアントラキノンと、α1-6-Fuc構造を認識するツチスギタケ由来の新規レクチンとをハイブリッド化した生体機能光制御分子を合成した。さらに、この分子ハイブリッドが、肝がん関連糖鎖構造であるα1-6-Fuc構造を有する糖タンパクを選択的に光分解することを見出した。また、分子ハイブリッドが、ヒト肝がん細胞の増殖を効果的に阻害することを実証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度においては、疾患関連タンパク及び糖鎖を選択的に光分解する新たな生体機能光制御分子の創製とそれらを用いた細胞機能制御に関して、当初の計画通り、または、それ以上の大きな成果が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の今後の推進方策として、引き続き、生体高分子(タンパク、糖鎖)を光分解する光感受性分子(小分子)と、疾病に関連する標的の生体高分子を認識する分子(小分子及び高分子)から構成されるさまざまなハイブリッド分子(生体機能光制御分子)を創製し、これらを用いた細胞機能制御を指向した応用研究を行う。尚、研究計画の変更あるいは研究を遂行する上での大きな問題点は現時点ではない。
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Remarks |
戸嶋研究室(分子生命化学研究室)
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Research Products
(13 results)