2014 Fiscal Year Annual Research Report
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26283007
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西 芳実 京都大学, 地域研究統合情報センター, 准教授 (30431779)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 美奈 名古屋大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (30298442)
亀山 恵理子 奈良県立大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (50598208)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 災害対応 / 証言 / 地域情報 / 防災 / スマトラ / アチェ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、災害後社会の生活再建において女性がどのような課題に直面し、それをどのように克服してきたかについて、女性が社会のレジリエンスを高めて災害や紛争に強い社会の再建に積極的な役割を担っている側面に着目して検討する。2004年インド洋津波の救援・復興過程に関する研究の蓄積をもとに、現地調査ならびにデータベースを活用した分析の組み合わせにより、日常生活に組み込まれた災害対応の実践の抽出を試みる。 初年度にあたる平成26年度は、研究基礎資料の収集、作業用データベースの作成を進めた。とりわけ、被災から10年目という節目の年を迎えた2004年インド洋津波被災地であるアチェ州における調査ならびに資料分析を重点的に行った。 (1)アチェ州公文書館が編纂した『津波と彼らの物語』に収録されている津波生存者の証言111件について、証言内容をテキストデータ化したうえで、性別・年齢・職業・被災場所もしくは被災時の居住地をもとに分類した作業用のデータベースを作成した。このうち、バンダアチェ市の被災証言48件については日本語への翻訳を行った。これらの証言データベースの作成過程で得られた知見をもとに西が論文[3]を執筆した。 (2)シネアドボ・ワークショップ「越境する越境する危機と分かち合う記憶―東南アジアを襲う不況・台風・爆弾テロ」を実施し、インドネシアの女性映像制作者が制作・監督した映像作品『楽園への長き道』ならびに『海辺の先の物語』をもとに、家族を失う痛みや、津波被災地の復興に亀裂を入れる太平洋戦争の不発弾問題に対する対応について検討した。 (3)スマトラとジャワで現地調査を行うとともに、西は、国際ワークショップ「情報コミュニケーション技術を用いた防災実践」に、亀山は第5回国際アチェインド洋研究会議に参加し、それぞれ口頭発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
津波被災者の証言データベースは本文の全文検索が可能となり、時間、地名、キーワードにより複数の証言データを横断的に分析するための準備を整えた。 国際ワークショップや現地調査を通じて、日常的な生活実践と災害対応を結びつける考え方について研究分担者ならびに現地研究協力者と課題を共有すると同時に、聞き取り調査の対象者の選定を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、日本語・英語・インドネシア語による各分野の専門書を収集し、これをもとに、女性による災害対応に関する記事を分類する際の分類方法を検討する。また、証言データベースについて、地名横断検索とその表示方法について検討する。インドネシアの女性の生活実践にかかわる研究を行っているインドネシア地域研究者ならびに現地専門家と意見交換を行い、連携研究者や研究協力者を加える。 女性による災害対応の日常実践に関する臨地調査調査にあたっては、生活再建にかかわる情報収集・発信の重要性に注目し、役場、学校、市場、診療所、宗教施設などの情報拠点と女性の関わりについての調査を行う。また、前年度に選定した調査対象者への聞き取り調査を進める。
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Causes of Carryover |
購入を予定していた外国書籍の一部の購入をとりやめたため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
翌年度の書籍購入費にあてる
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Research Products
(7 results)