2016 Fiscal Year Annual Research Report
黄砂発生地域における表層土壌回復のための社会的経済的アプローチ
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26283008
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
深尾 葉子 大阪大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (20193815)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安冨 歩 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (20239768)
宇山 浩 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70203594)
中澤 慶久 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70575414)
北島 宣 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (70135549)
山本 健太郎 西日本工業大学, 工学部, 准教授 (40305157)
伊藤 謙 大阪大学, 学内共同利用施設等, 講師 (00619281)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | オニク / 沙蒿 / 緑化モデルの比較 / シアノバクテリア / 藻場 / 多糖類 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年は例年通り、夏の8月に阿拉善、黄土高原の現地調査を行う。参加したのは分担者のうち北島、宇山、安冨、深尾の4名。このほか研究協力者の冨樫智(オイスカ)やノリブ(楡林学院)らが現地合流する。8月11日銀川に集合し、北島、宇山は、冨樫一行の案内で、阿拉善の緑化拠点や、オニク(砂漠人参)の栽培地などの見学を行う。一方、安冨、深尾は、長年にわたり訪問できずにいた靖辺の統万城を訪れ、5世紀の五胡十六国時代、この地が豊かな森林におおわれていたことを知る歴史的遺産を見学する。その後同地で、植林で有名になった全国人民代表で労働模範の牛玉琴の拠点を参観し、靖辺、定辺一帯の砂漠緑化の拠点を訪問。近年エネルギー開発に湧く同地の経済的な変化を目の当たりにするとともに、大規模な緑化による変化を目にする。その後、いったん楡林で再合流し、楡林学院のノリブらとともに、黄土高原国際民間緑色ネットワークのメンバーと会食。その後北島、宇山、深尾は神木の張応龍の活動拠点に赴き、急ピッチで砂漠に建設中の生態文化回復のための活動、研究センターを見学。その後、張独自のブドウ栽培技術や、ノリブが実践している糞尿処理施設などを見学。宇山はこのあと楡林から帰国。北島、安冨、深尾は、米脂県楊家溝へ向かう。楊家溝の農業や生活空間を参観。楊家溝は革命根拠地として大規模な集落の建築群の整備が進んでおり、全国に名だたる観光地としての整備が進む。夕方北島は一足早く楡林へ移動し、帰国。深尾安冨はその翌日早朝、西安、上海経由で帰国。短い滞在時間ではあったが、現地での活動がそれぞれ独自に展開している状況を把握。また10月と翌1月には、冨樫が大阪大学を訪問。宇山研究室との共同研究および、深尾研究室との共同調査の打ち合わせを行い本科研の後半の研究について議論を重ねる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年は、研究代表者の体調不良等で当初予定していた出版が遅れているものの、夏の共同調査、その後の共同研究作業は引き続き行われている。特に、宇山研究室と阿拉善で緑化を行う冨樫智との共同研究は、現在沙蒿の種子から得られる多糖類のポリマーの研究が進んでいる。また、現地での研究拠点となるオルドスの乾燥地研究のセンターも工事が進んでおり、完成時には現地で滞在型の調査研究が可能となる。また、シアノバクテリアなどの緑化を推進する上でキーとなる植生の役割の解明も、引き続き行うべく作業が進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、宇山研究室におけるポリマーの利用に関する具体的な研究を進めてゆくとともに、昨年度十分に行うことのできなかったシアノバクテリアの育成とその効果に関する研究を重点的に進め、黄土高原や内モンゴルの乾燥地、砂漠地帯で、「植林」を行うのではなく、藻類が地表面を覆うことのできる人間環境、生活をいかにして打ち立てるのか、緑化といえば「植林」と短絡的に考えられがちであったいたこれまでの砂漠化対策に対し、地表面の保湿、栄養蓄積といった点から、再度見直しをはかるべく、実践と研究を行う。本科研は後半に入っており、徐々に成果にむすびつける出版や発表、会議の開催を行って行き、中国内陸部の乾燥地対策をめぐる、学問分野を越えた新たな視点を提示すべく、これまでの調査や実践の成果を結び付けてゆく。
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Causes of Carryover |
代表者の体調不良により、年度後半の研究集会の開催等が困難となり、昨年度中に開催する予定であったシンポジウムを翌年度に延期したため。また、現地調査も、夏季の共同調査にとどまり、それ以外での交流は、各自別財源で行った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は、乾燥地の砂漠化に関するミニシンポジウムを年度内に開催し、翌年以降の出版や発表に備えたいと考えている。そのための費用として、基金分を次年度送りとし、会議開催のための旅費や調査、出版にかかる費用にあてたいと考えている。
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Research Products
(1 results)