2014 Fiscal Year Annual Research Report
連合国のアジア戦後処理に関する宗教学的研究:海外アーカイヴ調査による再検討
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26284012
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
中野 毅 創価大学, 文学部, 教授 (00164252)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 明 東京大学, 人文社会系研究科, 准教授 (00381145)
井上 大介 創価大学, 文学部, 准教授 (20511299)
粟津 賢太 南山大学, 付置研究所, 研究員 (30558911)
平良 直 八洲学園大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (40334015)
石井 研士 國學院大學, 公私立大学の部局等, 教授 (90176131)
小林 和夫 創価大学, 文学部, 准教授 (00546129)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 日本占領 / 宗教 / 連合国 / 戦後処理 / 海外アーカイブ |
Outline of Annual Research Achievements |
研究分担者、研究協力者、海外共同研究たちとの研究組織を立ち上げ、7月に第1回の打合会を國學院大学で行った。海外からもマーク・マリンズ氏(ニュージーランド)、アンネ・メッテ氏(イギリス)も参加し、本研究に関する現状認識と問題関心の共有を行い、今後の課題、進め方等について論議した。下記の戦争社会学会との連携など、アーカイブ調査と併せて、戦争の記憶や慰霊の問題からの分析・解釈の重要性を認識しながら本研究を進めていくことを確認した。 公開研究会は、11月に「戦争社会学会」との共催の研究会を東京大学を会場に行い、2015年3月に「日本占領と宗教」に関する優れた業績を表した岡崎匡史氏を招待して、第2回目の公開研究会を創価大学にて開催した。 研究代表者・中野、および分担者・粟津は、沖縄での調査を行った。沖縄県立公文書館での占領期史料を再調査するとともに、米軍占領後の沖縄において戦前の宗教団体法が存続している事実を確認し、それが奄美を含む南西諸島全体に及んでいたことを史料から裏付けた。また沖縄の主要神社を訪問調査し、米占領期の神社界の苦労、課題と変容が明らかになった。粟津はさらに沖縄戦における戦没者遺骨の発掘作業に従事し、慰霊祭等に参加した。 分担者・小林はオランダの国立戦争・ホロコースト・ジェノサイド研究所(NIOD)を訪問し、アーカイブ調査を行った。インドネシアでの植民地時代のアーカイブ整備が格段に進んでいること、それを用いた研究の重要性が明らかになった。 研究協力者・白恩正が韓国ソウルでの米占領期の文書、研究論考の予備調査を行い、海外共同研究者の田村恵子は日本およびオーストラリアでの調査を、マーク・マリンズが合衆国における複数のアーカイブ調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度であったため、ある意味で必然的に起こった初動体制の遅れがあっった。具体的には、①科研費の分担と使用について事務的な手続きが遅れたり、熟達していなかったこと。②事務局との連携の確立にも時間が必要であった。③複数の分担者、研究協力者、海外共同研究者の間での、問題意識の共有、連携の方法の確立に時間が必要であった。④各研究者の具体的な調査対象の特定、テーマの設定、研究手順や実施について固める時間も必要であった。 、
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Strategy for Future Research Activity |
本科研参加者それぞれが、既存の研究の検討や予備調査を通して、上記の諸問題を明解にできたので、本年度から、海外アーカイブでの調査を本格化させ、データの収集と整理、分析も積極的に推進する。
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Causes of Carryover |
海外共同研究者を含む研究会組織の編成に、予定以上の時間がかかったため、研究活動、特に調査の実施が若干少なくなった。また海外の日本占領に関連するアーカイブについての予備調査を実施する予定であったが、その一部が予定通りに進まなかったためと、日本での調査を先に行う必要も生じ、旅費などの必要額が少なくなった。 マリンズ氏は合衆国でのアーカイブ調査を積極的に進めてくれたが、その経費はほぼ自分のファンドでまかなえたため、本科研の支出が減少した。 人件費においても、大学事務との手続きが細かい規定の問題などで遅れたため、十分に使用することができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
海外共同研究者との連携体制も整い、海外アーカイブの所在や調査ポイントも明らかになってきたので、今年度は、積極的に海外調査を行う。また研究会も充実させ、研究補助を依頼する人員の確保・支払いの体制も整ったので、順調な使用が見込まれる。
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