2015 Fiscal Year Annual Research Report
連合国のアジア戦後処理に関する宗教学的研究:海外アーカイヴ調査による再検討
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26284012
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
中野 毅 創価大学, 文学部, 教授 (00164252)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 明 東京大学, 人文社会系研究科, 准教授 (00381145)
小林 和夫 創価大学, 文学部, 准教授 (00546129)
井上 大介 創価大学, 文学部, 准教授 (20511299)
粟津 賢太 南山大学, 付置研究所, 研究員 (30558911)
平良 直 八洲学園大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (40334015)
石井 研士 國學院大學, 公私立大学の部局等, 教授 (90176131)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 日本占領 / 宗教 / 連合国 / 戦後処理 / 海外アーカイブ |
Outline of Annual Research Achievements |
本科研総体の活動としては、9月4日から創価大学にて開催された日本宗教学会第74回学術大会での公開シンポジウム「宗教の未来 宗教学の未来」および関連パネルを後援、開催した。英国ウォーリック大学のベックフォード名誉教授、米国ジョージタウン大学のカサノヴァ教授を招き、国家と宗教、戦後世界の公共空間と宗教との関係という、本研究にも重要な分析視角について論議した。 打ち合わせ会、研究会を開催したほか、分担者等は分担テーマに即した調査、資料収集を行った。中野は沖縄、宮城を訪問調査し、特に宮古島の戦跡や神社の復興について新たに知見を得た。石井は宗務課が戦後実施した調査の一覧、明治以降の宗務行政が刊行した文献の一覧を作成した。西村はマリアナ諸島のチャモロ人の戦争と戦後の記憶を論じたカマチョ著の翻訳、関連する太平洋諸島における戦中・戦後の宗教状況に関するデータの収集に努めた。またIAHRに参加し発表した。粟津は国会図書館および北海道大学での資料調査、北海道の護国神社の訪問調査を行った。また各種シンポジウムに参加し発表した。平良は琉球列島米国民政府の宣撫政策における宗教との関連事項について、沖縄公文書館で資料収集、当時の様子を知る世代へのインタビュー調査を行った。小林はオランダおよびインドネシアのアーカイブ調査を継続した。井上は戦後日本の占領政策と関連するアメリカ文化人類学の影響について資料収集し、同種の研究に従事している人類学者等の研究動向を整理した。 協力者の白は韓国国立中央図書館にて韓国の米軍政期における政治、宗教、教育、法律と関連ある資料を収集し、米軍政期の学校での宗教政策について日本との比較研究を行った。宮川はロシアのアーカイブの基礎情報を収集した。海外分担者のマリンズは米国のマッカーサー記念館等のアーカイブ調査を行い、アンネメッテは沖縄や英国公文書館所蔵の占領関連史料を調査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
9月に開催した国際シンポジムの準備などで、予想を超えて時間と労力がかかったことが最大の要因と考える。その後、その成果や知見を生かして、資料の収集、海外アーカイブの調査を各分担者・協力者が精力的に推進した。不十分な面は、2016年度に遂行予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である平成28 年度は、各分担者・協力者が前年度までに消化しきれなかった事項の追跡調査、特にアーカイブの調査を国内、海外の双方において重点的に行う予定である。 事務局の作業としては主として3年間にわたって実施してきた調査研究の成果のとりまとめ作業に入る。したがって、研究会の場において調査報告書の編集作業も進める。こうしたデータを集成する報告書は大部のものとなることが予想される。そこで書籍としての刊行と共に、「占領期宗教政策に関する資料目録(仮称)」をデータベース化した上で、公開する方法を検討したい。中野、石井、粟津は日本宗教学会の情報化委員会を務めている関係上、同学会のホームページ上で広く一般に公開する可能性を検討していく。また、報告書以外の、研究論文をまとめた論文集の刊行、書籍の刊行をめざし、今後の研究に資したい。
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Causes of Carryover |
海外アーカイブ調査に出張する回数が、予定より少なかったことが、最大の理由と考えている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
代表者はじめ、複数の分担者が積極的に海外アーカイブ調査に出かける予定。それによって消化されるはずである。
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