2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26284023
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
秋山 聰 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (50293113)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
板倉 聖哲 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (00242074)
佐藤 康宏 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (50141990)
高岸 輝 東京大学, 人文社会系研究科, 准教授 (80416263)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 美術史 / 比較美術史 / 宮廷 / 宗教美術史 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度同様に、宮廷と美術の関係についての比較美術史的観点からの検討を目指し、日本・東洋美術史班、西洋美術史班それぞれに諸地域の宮廷美術について具体的事例に即した調査研究を行なった。日本美術班は、土佐光信周辺の「月次祭礼図模本」、「源氏物語図帖」等室町時代の宮廷周辺で制作されたやまと絵作品を中心に調査を行ない、応仁の乱後における宮廷の文化復興、大画面と小画面の図様の交流などの実態が明らかになった。また昨年来連携研究者や研究協力者と共に行っている天皇と美術についての研究では、各自の論文執筆が進行中であり、中間報告を兼ねた研究会を3月に行った。また、圓山應舉の画業について、宮廷との関係を中心に研究が進められ、円満院門主祐常法親王の庇護を受けた時代の作品の、明末蘇州派の絵画様式の受容との関連が考察された。 東洋美術班は、7月に洪善杓氏と鄭于沢氏を招聘、韓国における宮廷と美術に関するシンポジウムを開催、前者から論文寄稿をいただいた。また、南宋以来の院体画に注目し、画絹など物質面での詳細な検討を行ない、その成果の一部を論文発表した。西洋美術班は5月および12月にて仏および伊国において宮廷美術および宝物関連の調査研究を行なうとともに、主として宮廷宝物としてのレガリアに関する比較美術史的研究を行ない、その成果の一部をアブダビやハイデルベルクで発表し、海外研究者と活発な意見交換を行なうことができた。これらの口頭発表を基に、次年度にベルギーの出版社から刊行予定の欧文および国内での和文による論文発表の準備に着手している。また宮廷画家の活動の広範さ、多様さについての具体的事例に基づく研究も進めている。なお、日本および西洋美術班は、2月に九州大学において2回の研究会を開催し、これまでの研究成果の発表をして、現地の研究者との議論及び意見交換を行なうとともに、関連する社寺や美術館での調査見学を行なった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究会の開催日時、場所等が変更ないし前後したり、規模が変化することはあるものの、おおむね順調に進行していると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
概ね過去の二年度と同様に、個々の造形作例および文献史料の調査研究と研究文献の精読を進めるとともに、適宜研究会等を開催し、学術的議論と意見交換を通じて、方向性の修正や視野の拡大をはかる。また、最終年度であることを考慮し、各班の成果の相互検討をお行なったり、包括的な研究集会の開催等を視野に入れている。
|
Causes of Carryover |
年度終盤に予定されていた国内出張における日数等に変更が生じたため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
国内出張の計画の中で、なるべく年度前半に当該分を使用する予定である。
|
Research Products
(15 results)