2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26284025
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
益田 朋幸 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (70257236)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅野 和生 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (80167890)
伊藤 怜 早稲田大学, 文学学術院, 助手 (90647843)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ビザンティン美術 / グルジア / キリスト教図像学 / バルカン半島 / 聖堂装飾プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
4~7月に事前の調査及び許可申請を行なった上で、8月から9月にかけて、グルジアとトルコ(イスタンブール)で現地調査を実施した。幸いにもグルジア正教総主教座の全面的な協力が得られて、撮影はほぼスムースに行なわれた。 グルジアでは以下の聖堂・修道院を調査した。David Gareja岩窟修道院群、Betania、Manglisi、Vardzia、Timotesubani、Ushguli近郊Kala村聖バルバラ聖堂、UshguliのLamaria聖堂、Ispari村大天使聖堂、Zhamushi村救世主聖堂、MestiaのLaghami聖堂、Latali村救世主聖堂、Calendzikha、Martvili、Ubisa、Ateni Sioni、Mtskhetaの諸聖堂、Gelati、Zemo Krikhi、Bugeuli、Nikortsminda、Tsromi、Kintsvisi。 イスタンブールでは、コーラ修道院の調査を行なった。14世紀のビザンティン美術において、首都コンスタンティノポリス、バルカンの都テサロニキとグルジア、ロシアとの関係は重要である。今回キリスト伝のプログラムに関して新たな知見を得た。 9~3月は、撮影した写真を整理し、図像プログラム図を一部作成した。資料と照らし合わせ、学会発表の準備を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に基づいて、グルジアの調査を行なった。こちらが期待した以上の数、質の聖堂調査が許され、日本人が初めて足を踏み入れる聖堂も多数あった。特に12世紀の聖堂に関して、カッパドキアとの図像学的類似を確認した。14世紀におけるバルカン半島との関係と合わせて、新たに考察すべき問題である。 ロシア文化圏とバルカン半島をつなぐべき首都コンスタンティノポリスに関しては、コーラ修道院の調査によって、新たな視点が得られた。特に聖母マリア伝については、ビザンティン文化圏で失われた12世紀の作例を、アテニ・シオニ聖堂等が補強してくれると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画ではグルジア、ロシア、ウクライナ3国を調査する予定であったが、採択後にウクライナ情勢が急変し、目下のところ現地調査の見込みが立たない。危険度が下がることを期待するが、代替の調査地を選定しなければならない可能性がある。ロシア、グルジアで調査し残した聖堂を対象とするのが順当な解決策だろうか。 当初計画の主軸である「ロシアーバルカン」という地域軸に対して、カッパドキアと首都コンスタンティノポリスの関連が次第に明らかになりつつある。今後は清掃装飾プログラムという立場から、4地域の具体的な関連性を追究してゆくことが主務となろう。
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Causes of Carryover |
グルジアの物価が想定以上に安く、ガイド付きの乗用車を長期間チャーターするのに、あまり費用がかからなかったため。運転手は雇わずに、代表者が運転することによっても経費が節約できた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ロシア調査を予定するが、ガイド、運転手付きの乗用車を雇いたい。費用は未定であるが、この分の経費を想定している。
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Research Products
(11 results)