2015 Fiscal Year Annual Research Report
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26284025
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
益田 朋幸 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (70257236)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅野 和生 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (80167890)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 西洋美術史 / ビザンティン美術 / キリスト教図像学 / 中世ロシア / フレスコ / イコン / バルカン半島 / 装飾プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
モスクワと「黄金の環」と称される諸都市の聖堂装飾を調査した。Sergiev Posad、Pereslavl Zalessky、Rostov Veliky、Yaroslavl、Vologda、Ferapontov修道院、Kostroma、Suzdal、Pokrova na Nerli、Vladimirの諸都市・モニュメントである。特にディオニシ工房がフレスコを制作したフェラポントフ修道院の装飾プログラムは、カストリア(ギリシア)、オフリド(マケドニア)のプログラムを受け継ぎ、ロシア化させたものと評価できる。 モスクワにおいては、Pokrovsky Sobor、プーシキン美術館、クレムリン、Spaso Andronikov 修道院、トレチャコフ美術館、Novodevich修道院、ヴァスネツォフの家博物館を訪れた。11世紀以降ビザンティン世界で始まった、「受難の聖母」のイコノグラフィーは、ロシアに伝わり、独特の感覚世界を形成する。それはロシア文学に見るトスカ(タスカー)のニュアンスに近いものと考えられる。 トレチャコフにおいては、フェオファン・グレク、アンドレイ・ルブリョフ、ディオニシと続く系譜を、様式・図像の両面より確認する。 「黄金の環」で調査した聖堂壁画の大半は17世紀のものであった(特にコストロマ派)。最も見事であったのは、ヤロスラヴリ郊外の「トルチュコヴォの洗礼者ヨハネ聖堂」Ioan Krestitelya v Tolchkovo/ Ioan Predtechiであった。しかしこの装飾プログラムは、ビザンティンの伝統下にあるとはもはや言えず、ロシア独自のものである。三位一体第一位格「父なる神」の造形を畏れぬ点等、ビザンティン世界とは異質なものを認める。しかし「クリスマス賛歌」図像や「ポクロフの聖母」に関しては、14世紀バルカン半島との連関を想定してもよい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度グルジア(ジョージア)、平成27年度ロシア(モスクワ周辺)と年度ごとに調査した。平成28年度についてはロシア(ノヴゴロド周辺)を予定する。以上に関しては順調である。ただし申請時にはウクライナ調査も計画の対象としていた。これについては政治状況の激変があり、どの程度の調査が可能か、不確定要素が残る。現在のところキエフとその周辺の調査は可能である模様で、全体計画には支障をきたさないと考えている。 文献収集は早稲田大学のILLシステムによって、順調に進行している。間もなく今年度の調査対象聖堂・修道院の許可申請を行うことになる。特にPskovのMirozh修道院が最大の調査対象となる。この許可が下りれば、今年度の調査もおおむねうまくゆくであろう。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度の調査は、サンクトペテルブルクを拠点として、Novgorod、Pskov等の古都を踏査する。時間的に余裕があれば、キエフに足を延ばしたいが、目下ロシア-ウクライナ問題により、両国間の直接のフライトが廃止されている。日程内に収まれば、他国のフライトを利用し、もしくは他国を経由することによって、キエフ調査も行いたい。 それが無理であれば、平成29年度にジョージアとキエフの調査を行うことで、当初計画を遂行したい。いずれの場合でも、研究の進行上、大きな差は生じない。
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Causes of Carryover |
ロシア調査においては、費用不確定要素が多い。ホテルの選択は限られ、移動用のレンタカー、運転手の費用は、ロシア側の旅行会社に事実上任せなければならない。したがって、事前のこちらの予想通りにはいかない面が多々ある。平成27年度については、ガイドを雇用しなかったので、その分の費用が浮いたと考えられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は観光地でない僻村の聖堂も調査する予定であり、現地ガイドの雇用が不可欠となる。その分の費用として費消する予定である。
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Research Products
(11 results)