2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26284025
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
益田 朋幸 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (70257236)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅野 和生 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (80167890)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 美術史 / ビザンティン美術 / ロシア美術 / キリスト教図像学 / 聖堂装飾プログラム / ノヴゴロド / プスコフ |
Outline of Annual Research Achievements |
ノヴゴロド周辺とプスコフにおいて、12世紀及び14世紀のフレスコ壁画を有する聖堂・修道院を調査した。特に重要なのは、プスコフのミロジュMirozh修道院で、12世紀のフレスコを壁面全体に残す中規模の聖堂としては、正教世界唯一の作例となる。十二大祭をプログラムの要とする最初期の例であるが、「キリスト降誕」と「聖母の眠り」を関連づけて配置する興味深い試みをしている。キリスト公生涯のサイクルに関しては、典礼との関係が予想されるものの、未だに選択と配列の理由は解明できていない。今後の課題である。 プスコフ郊外のスネトゴルスキイ女子修道院(1313年の壁画)は、同時代のバルカン(例えばセルビアのストゥデニツァ修道院王の聖堂)やコンスタンティノポリス(例えばコーラ修道院)とも異なる独特のプログラムをもつ。これがロシア的なプログラムと言えるものか、引き続きの検討が必要である。 上記以外に、Staraya Ladogaの聖ゲオルギオス聖堂、ノヴゴロドの聖ソフィア大聖堂・変容聖堂・ズナメンスキイ大聖堂・アントニエフ修道院・ユリエフ修道院・聖テオドロス・ストラテラティス聖堂・アルカジ村受胎告知聖堂・聖ニコラオス大聖堂(ヤロスラフ宮廷)・墓地内降誕聖堂・ヴォロトヴォ村聖母の眠り聖堂・コヴァリョヴォ村救世主聖堂・ネレディツァ村救世主聖堂・プスコフのメレトヴォ修道院等の調査を行った。 図像学的に関連するイコンの調査としては、ペテルブルグのロシア美術館・エルミタージュ美術館、プスコフの国立博物館、ノヴゴロドの国立美術館を訪問して、撮影を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
調査撮影が許可されない場合も想定しており、その場合は代替聖堂を考えていたが、申請した聖堂・修道院の調査がすべて認められ、大きな成果を上げることができた。また予期したことではないが、エルミタージュ美術館において大掛かりな「ビザンティン展」が開催されており、アクセス困難な作例を多数実見することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はジョージア(グルジア)の再調査を予定する。前回の訪問で総主教座の担当者とコンタクトをもつことができたので、今回は事前に調査許可の申請を行い、時間的に無駄のない調査を実施したい。 ウクライナの調査を申請当初予定していたが、政治情勢が不安定であるため、調査は実施しないこととする。
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Causes of Carryover |
調査に参加した人数が1名減少したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の調査参加者を増やす予定。
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Research Products
(17 results)