2014 Fiscal Year Annual Research Report
公共圏における劇場の役割―ドイツの選択、日本の針路
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26284029
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
江藤 光紀 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (10348451)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
城多 努 広島市立大学, 国際学部, 准教授 (30423966)
辻 英史 法政大学, 人間環境学部, 准教授 (80422369)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | オペラ / 劇場 / 日独比較 / 国際研究者交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の前身となる基盤研究(C)「歌劇場の分析を通してみるドイツの文化・公共政策」(平成22~24年度)の成果をまとめ、本研究についての視点を改めて確認し明確化するために、第30回日本ドイツ学会(6月、江古田・武蔵大学)において「オペラの危機を読み解くために」という共同発表を行った。メンバーの江藤、城多、辻のほか、この分野の専門家にもコメンテーターとして加わっていただいた。またこの発表をもとにした論文を共同執筆し、同学会誌「ドイツ研究」第49号に掲載した。 8月にはメンバー全員でびわ湖で行われた「ホールペーター・コンヴィチュニー×平田オリザ×沼尻竜典 オペラと演劇、その協働の可能性と未来への展望 ~オペラ・アカデミー in びわ湖の成果を踏まえて~」を聴講し、現地で研究会も行った。 9月には江藤・城多がベルリンを訪れ、ベルリン・マックス・プランク研究所で音楽を巡る共同体の構築を感情史という視点から分析しているグループを訪問し、研究の方向性についてアドヴァイスを受けた。 2月には江藤・城多が広島・アステールプラザを訪問し、「オペラの都市」を掲げる広島の現状について広島オペラ・音楽推進委員会から話を伺うとともに、細川俊夫「リア王の物語」の上演を視察した。 3月2日にはマックス・プランク研究所の研究者を東京にお招きし、国際ワークショップを行った。招聘研究者の講演だけではなく、これまでの研究の経緯について本研究メンバーから発表も行い、貴重な意見交換の場になった。同月中旬にはメンバー全員でニュルンベルク州立劇場、フライブルク劇場、マンハイム国民劇場を訪れ、関係者から話を聴くと同時に公演を視察した。また辻がベルリンで専門研究者からさらなるアドヴァイスを受けた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査時期が3月になってしまったため、調査結果の分析が年度内に終わらず、現在にまで持ち越しになってしまっている点は反省が必要だが、メンバーの足並みをそろえながら、ドイツ、日本両面においてにおおむね順調に調査を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はまず3月に持ち帰った調査資料の分析を行う。6月には日本のオペラ事情について詳しい関根礼子氏を研究会にお招きし、日本のオペラ上演の現状と問題点について話を伺うとともに、3月の調査の発表を行ってアドヴァイスをもらう予定である。 日本の劇場調査については、前年度訪れたびわ湖ホールはさらなる調査が必要ということで意見が一致している。ほかに兵庫県立芸術文化センター、水戸芸術館などいくつかの候補の中から調査対象を絞り込む。 ドイツの劇場については、同一劇場のある程度の継続性をもった調査の必要性について議論している。ただ調査するうえでの問題点に加え、先方が調査に協力的であることも必要であるため、対象選定に難しさがある。またツァルフェン氏からトリーアの劇場が今後先進的なモデルを提示していくだろうということで、調査対象に加えるようアドヴァイスを受けている。この点も検討したい。
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Causes of Carryover |
海外から招聘した研究者の謝金ならびに旅費について、他の招聘の機会と重複したので、本課題での航空代金などの負担がなかったため、予定より支出が抑えされた。また今年度は調査出張が3月になったため、調査を反映した上での更なる分析に必要な資材・資材を購入するタイミングが次年度にずれ込んだ。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
まだ27年度の招聘者は決定していないが、26年度に招聘した研究者のほかにも招聘が必要な研究者がいるので、27年度の招聘関係経費に適切に支出する。また今年度にずれ込んだ分析のための資材・資料の購入に用いる。
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