2014 Fiscal Year Annual Research Report
地域文化政策領域における「新しい公共」の担い手と環境整備
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26284030
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 真理 東京大学, 人文社会系研究科, 准教授 (40257176)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
友岡 邦之 高崎経済大学, 地域政策学部, 教授 (10363780)
藤野 一夫 神戸大学, その他の研究科, 教授 (20219033)
阪本 崇 京都橘大学, 公私立大学の部局等, 教授 (20340458)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 地域文化政策 / 新しい公共 / NPO / 財団 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は、研究会を3度開催した。春と秋に、研究者間の問題意識を詳細に議論した上で、地域における文化政策において、その担い手が多様化しているとともに、既存の担い手の地域文化振興財団の役割が曖昧になっているなどの問題意識を共有し、研究の進め方に関する具体的な方向性を確認した。具体的な解決方法を検討するために、研究者はそれぞれに資料の収集活動やヒヤリング、現地調(北海道、シンガポール、ドイツ等)を行った。 2015年2月には二日間連続で、今回の研究対象である地域の文化政策を担っている、地方自治体、地方自治体出資の文化振興財団の有識者NPO等で地域の文化政策を担っている団体の有識者を招聘して、研究会を開催し、研究者間、現場の担い手との研究意識の共有を行った。そこで明らかになってきたことは、地域における文化振興財団が公益法人改革の際に、公益法人を選択した理由が明確ではないこと、また指定管理者制度が導入されているにもかかわらず、運営費等の経済的な依存度が高いことから、これらの財団の精神的な自立性のようなものが十分に保持されていないことが明らかになった。さらに、都道府県によっては、公益財団法人改革において、一般財団法人を選択する方向性を勧めたところがあることもわかり、その違いが明確に認識されていないことも明らかになった。 それに対して、NPOは地方自治体との関係は様々であるが、むしろ明確なミッションを有しているだけに、地方自治体との関係性がむしろニュートラルに見えるところがあり、精神的な自立性を十分に確保しているようにみえた。指定管理者として選定されているNPOは、他の地方自治体の財団と運営上は変わらないことから、むしろ財団の存在意義こそが問われるような結果になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
昨年度中に、有識者の方々から十分にヒヤリングを行うことができた上、研究会も開催できた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に収集した資料やヒヤリングの分析を行うとともに、引き続き基本的な情報の収集活動を行う。 これらの資料や記述等を元に分析と検証を行うとともに、構築可能な仕組みについての議論を始める。具体的には、NPO等の組織の特性に基づいた活動を適切に評価する文化政策に関する評価手法が確立していないことから、そもそもこれまでの評価方法が適切なのかという点も含めて批判的に検討を行いながら、「新しい公共」と称される担い手が地域文化政策の中で活躍できるための条件を考察する。
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Causes of Carryover |
購入予定の書籍が年度内に発行されなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
購入予定の書籍が刊行され次第購入する。
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