2015 Fiscal Year Annual Research Report
地域文化政策領域における「新しい公共」の担い手と環境整備
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26284030
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 真理 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (40257176)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
友岡 邦之 高崎経済大学, 地域政策学部, 教授 (10363780)
藤野 一夫 神戸大学, 国際文化学研究科, 教授 (20219033)
阪本 崇 京都橘大学, 現代ビジネス学部, 教授 (20340458)
曽田 修司 跡見学園女子大学, マネジメント学部, 教授 (90348160)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 地域文化政策 / 文化政策 / 新しい公共 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者、研究分担者ともに、それぞれの調査研究を進めた上で、2016年3月5日に共同研究会を開催した。地方自治体で文化政策を推進してきた元首長、文化行政担当者等を招き、「新しい公共」あるいは市民参加のあり方がどのように推進されているか、また後退しているかについて、議論を行った。
2000年以降はまちづくりのツールとして文化芸術が使われるようになってきた。それから指定管理者制度など民の力が使われるようになってきた。このあたりで行政改革が行われるようになった。行政改革は4つ大きくあげますと、New Public Managementとされる、指定管理者制度に代表される民の力の導入、財政の健全化、事業効果測定など、財政悪化によって説明責任が強化されている。それから市町村合併です。大きな自治体をつくると、元々あった施設が統合されるようなことが議論されます。公益法人改革については、文化財団を設置している自治体にとっては大きな転機となった。 こうした行政改革により、自治体にとっては文化の効用を強調する必要性が高まった。これを文化の道具的価値を重視する立場と考え、文化のinstrumentalismと名付けた。文化がまちづくりのツールとして使われるという趣旨で、これが極端になりますと、集客優先の企画となるですとか、課題にあわせてアートがデザイン化されるおそれ、効用にのみ着目して文化を利用していく可能性があり、芸術文化の自律性に対する懸念が生じることも考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者および分担者ともに、順調に研究を推進している。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)首都圏および関西圏を視野に入れて、公立文化施設の運営に参入してきた民間企業やNPO、そしてそれを活用した行政側に対するに対する調査を実施して、それぞれの主体の役割分担の可能性を調査検討する。これは、民間企業との役割分担を考える上で、必要な作業である。 (2)平成26,27年度中に集めた資料や、記述を元に分析と検証を行うとともに、構築可能な仕組みについての議論を深める。具体的には、とくに文化政策を実施していく際に必要な文化政策評価の指標や基準について、検討を始める。 (3)以上の検討課題を、公開型の研究会で検証するため研究会を開催する。 (4)研究の成果を自治体文化行政で共有できる仕組みを構想する。 (5)必要に応じて、海外調査を実施する。
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Causes of Carryover |
昨年度共同研究を予定していた韓国釜山文化財団とシンポジウムを開催することはできたが、釜山から研究者を日本に招いて研究会を催す予定が、相手側の都合の変更でできなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度開催できなかった日韓合同の共同研究会を開催する。
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