2016 Fiscal Year Annual Research Report
絵画表現における風土と技術-膠を中心とする伝統的材料の持続性に関する調査研究-
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26284032
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Research Institution | Aichi University of the Arts |
Principal Investigator |
北田 克己 愛知県立芸術大学, 美術学部, 教授 (50242251)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
王 培 愛知県立芸術大学, 美術学部, 非常勤講師 (00600587)
阪野 智啓 愛知県立芸術大学, 美術学部, 准教授 (00713679)
森田 恒之 国立民族学博物館, その他部局等, 名誉教授 (10133612)
吉村 佳洋 愛知県立芸術大学, 美術学部, 准教授 (10336670)
早川 典子 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 保存科学研究センター, 修復材料研究室長 (20311160)
半田 昌規 東京藝術大学, 大学院美術研究科, 非常勤講師 (20538764)
稲葉 政満 東京藝術大学, 大学院美術研究科, 教授 (50135183)
岡田 眞治 愛知県立芸術大学, 美術学部, 教授 (60295582)
荒井 経 東京藝術大学, 大学院美術研究科, 准教授 (60361739)
白河 宗利 愛知県立芸術大学, 美術学部, 准教授 (70336668)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 膠 / 伝統材料 / 国際ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年4月に古典的膠の試作をワークショップ形式で行った。ユーザーが製造体験し、知識を学び、製品を試用することで製造方法による膠の違いを理解する普及プログラムである。研究ネットワークの形成を担い、産地・製造者支援に位置づけられることから、絵画材料としての持続可能性に関わる活動である。 6月、昨年度開催の公開研究会の講演を基に再編集した冊子「膠入門」を刊行した。執筆は本研究分担者、協力研究者が担当した。膠ユーザーにとって必須である基礎的な知識と最新の研究成果をまとめ、知識普及と研究促進に資するものである。 7月には海外フィールド調査としてドイツ・イタリアでの聞き取り調査と資料収集を行った。調査先はドイツ・Aichstettenの画材、修復材料業者のKremerで絵画、修復に用いられる各種膠の製造、流通状況、イタリア・Cremonaでは弦楽器製作工房、材料販売店、同・Romaでは保存修復材料商社、画材店などである。これによって、製造、流通、利用局面について多くの情報を得た。 同じ7月、公開研究会を愛知県立芸術大学を会場として開催した。東京以外では初となる。プログラムは「三千本膠『飛鳥』の開発について」、「模写という道」、「伝統技法と素材(紙・絵具・膠)」、「『膠の基礎知識』リーフレットについて」の講演と質疑応答だった。講師は文化勲章受章者上村淳之氏をはじめとして膠製造者、模写事業者、本研究分担者である。 昨年刊行したリーフレット「膠の基礎知識」の英訳に取り組んだ。膠研究は日本が主導すべき使命を担っており、国際的な知識の普及のための活動である。翻訳を完了し、29年度早い時期に刊行予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
国際フィールド調査は26年度中国、28年度欧州において実施し、多くの情報、知見を得た。 古典的膠の試作ワークショップを26年度、28年度に行い、多数、他領域からの参加者を迎えた。 愛知県立藝術大学での公開研究会を開催した。中部地域における教育普及、研究ネットワーク形成に寄与するものとなった。 リーフレット「膠の基礎知識」の英訳作業を行った。 アメリカでの調査、ワークショップ開催を計画していたが、受け入れ機関側の事情により、研究期間を延長して来年度実施する計画である。
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Strategy for Future Research Activity |
英訳したリーフレット「膠の基礎知識」を刊行する。 アメリカにおけるワークショップ開催を通じて、研究の情報提供と現地研究者、技術者との意見交換を行い、国際的な研究ネットワーク形成を図る。 古典的膠製造の体験ワークショップを引き続き実施する。(4月に実施) これまでの文献研究、試作膠の試用データ、海外調査報告など研究成果のまとめと発表を計画している。これら情報提供手段としてウェブ上のデータベース整備に取り組む。
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Causes of Carryover |
先方協力者の事情でアメリカでのワークショップが開催延期となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
29年度後半にアメリカでワークショップを開催する。
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Research Products
(2 results)
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[Book] 膠入門2016
Author(s)
北田克己、早川典子、宇高健太郎、荒井経、森田恒之
Total Pages
17
Publisher
膠文化研究会
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