2014 Fiscal Year Annual Research Report
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26284037
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松岡 心平 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (70173812)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 剛生 慶應義塾大学, 文学部, 准教授 (30295117)
高橋 悠介 神奈川県立金沢文庫, その他部局等, 研究員 (40551502)
落合 博志 国文学研究資料館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (50224259)
山中 玲子 法政大学, 付置研究所, 教授 (60240058)
高桑 いづみ 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, その他部局等, その他 (60249919)
小林 健二 国文学研究資料館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (70141992)
宮本 圭造 法政大学, 付置研究所, 教授 (70360253)
天野 文雄 大阪大学, その他部局等, 名誉教授 (90201293)
横山 太郎 跡見学園女子大学, 文学部, 准教授 (90345075)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 国文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)観世文庫の書誌調査:観世文庫所蔵能楽関係資料のデジタル・アーカイブ「観世アーカイブ」を拡充するため、観世文庫において数日間にわたる原本調査を3回にわたって行った(平成26年7月26~28日、9月27日~29日、平成27年1月10~12日)。この原本調査により、すでに撮影したデジタル画像に基づいて作成していた資料解題を見直し、新たな書誌情報を加え、その結果を文献データベースに統合した。 (2)観世宗節に関する研究会の開催:上記の原本調査にあわせて、平成26年9月28日(第一回)と平成27年1月10日(第二回)、七世観世大夫宗節に関する研究会を観世文庫において開催した。観世宗節は、世阿弥伝書の多くを書写するなど、観世家のアーカイブの形成を考える上でも重要な大夫である。初回は松岡心平が、二回目は落合博志(研究分担者)が研究発表を行い、参加者の間で意見を交換した。 (3)室町期重要資料の伝書翻刻:観世宗節が書写した世阿弥伝書をはじめとした能楽伝書の翻刻データを作成し、観世文庫の画像データベース「観世アーカイブ」に統合して表示するための打ち合わせを行い、研究協力者を中心に分担を決めて着手した。 (4)十五世観世大夫元章に関する研究論集の刊行:研究分担者・研究協力者が執筆した十五世観世大夫元章に関する十四本の論考と、元章に関する小事典や特集コラム、元章年譜と研究資料目録などを収めた研究書『観世元章の世界』を檜書店から刊行した。観世元章は、江戸時代に能楽の大改革を行った観世大夫であり、本書はその多くの事跡を多様な切り口から明らかにした成果である。観世文庫の資料を活用した新しい研究成果を盛り込んでおり、観世元章とその周辺のみならず、能楽史全般や観世家の蔵書研究を進める上で重要な一冊といえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に特段の問題は生じておらず、順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
観世文庫の書誌調査は研究期間全体を通して継続し、文献データベースの拡充につとめる。また、観世宗節に関する研究会も継続し、その研究成果については、追って論文等による公開を検討している。室町期重要資料の伝書翻刻については、26年度に決めた分担に基づき、27年度、観世宗節の書写した伝書類の翻刻データを完成させ、宗節による書写の様相についても研究を深める予定である。
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Causes of Carryover |
平成27年5月9日に、本科研の主催行事としてシンポジウム「糺河原勧進猿楽とは何だったのか―足利将軍と能楽―」を開催することにした。そのシンポジウムのための予算を、平成27年度に確保する必要が生じたことから、平成26年度予算の一部を残して平成27年に繰り越すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年5月9日に京都・賀茂御祖神社(下鴨神社)において、本科研の主催行事としてシンポジウム「糺河原勧進猿楽とは何だったのか―足利将軍と能楽―」を開催する。シンポジウムでは、松岡心平・小川剛生(研究分担者)他が登壇し、観世文庫に残る「寛正五年糺河原勧進猿楽図」などをもとに、糺河原勧進猿楽の意義を明らかにする予定である。このシンポジウム開催のための旅費や謝金等を見込んでいる。
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