2014 Fiscal Year Annual Research Report
超分節素の動態形式に基づくアクセント言語と声調言語の対照研究
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26284057
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
佐藤 大和 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 研究員 (50401550)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
益子 幸江 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (00212209)
峰岸 真琴 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (20183965)
遠藤 光暁 青山学院大学, 経済学部, 教授 (30176804)
鈴木 玲子 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (40282777)
降幡 正志 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (40323729)
岡野 賢二 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (60376829)
春日 淳 神田外語大学, 外国語学部, 准教授 (80364925)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 音声学 / 超分節素 / アクセント / 声調 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、対象諸言語それぞれに関して、研究課題の具体化、課題内容に基づいた収録音声リストの作成、音声収録、収録音声の音響分析等を進めた。 声調言語に関しては、以下のとおりである。中国語では、昆明方言・重慶方言などの西南官話を中心とした声調音声の収録を行い、一部音響分析を進めている。また昆明方言音声を元に各種声調の再合成実験を実施し、昆明・重慶方言の声調体系の基礎データを得た。タイ語では、単音節語3語を組合せた3音節連続音声について、その第1語と第3語が共通声調の場合の音響分析を行い、動的な声調の型に関して検討した。ラオ語では、種々の音節構造の単音節語と2音節語の語彙リストを作成した。ビルマ語は、軽音節を含む2音節語、3音節語について、語の内部構造と声調との関係を検討するためのデータ収集を行った。ベトナム語では、音節連続の動態に関わる音節の持続時間、ピッチなどを分析するための準備として、2音節、3音節の語または(文中の)語の連続を中心に録音用リストを作成した。 アクセント言語に関しては、以下のとおりである。日本語では、アクセントのピッチ周波数特性を分析するため、アクセント型、モーラ数、音韻構成等が異なる単語リストを作成し、男女各1名による発話データを収録した。単語単独発声、文脈埋め込み発声、強調発声の各条件における音声の音響分析を行い、声調言語で見られる曲線と同様の動的ピッチパタンがアクセント言語においても見られることを確認した。インドネシア語では、その発話形式を情報構造と音声特徴との関連から検討し、動詞連続や語順がピッチパタンに及ぼす影響の研究のためのデータを準備した。 また、音声知覚実験のための刺激音声提示・集計ソフトウェアの機能拡充を図った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究用語彙リストの作成などすべての言語で進んでいる。対象言語によって進捗に差はあるものの、音声収録とその音響分析も進みつつあり、全体としておおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
中国語に関わる研究では、前年度検討方言に加えて北京方言を対象とし、4声調体系であっても種々の下降調が声調知覚にいかに影響するかを、音声合成の手法を用いて検討する。また、6種の平板調を持つミャオ語をはじめとして、様々な声調体系をなす言語・方言の音響的・聴覚的実験を進める。 タイ語では、前年度に引き続き単音節語3語の組合せに関して音声分析を進める。また、単音節から最大8音節に至るタイ語の音声的パタンを分析するためのデータベースを整備し、タイ語辞典の見出し語の声調パタンを検索可能とする。ラオ語、ビルマ語、ベトナム語に関しては、前年度作成の語彙リストの拡充を図るとともに、音声収録を実施し、ピッチパタンをはじめとする音響分析を進め、各言語における音節連続の動態形を明らかにする。特にビルマ語では、軽音節を含む語と含まない語の比較検討に重点を置く。 音節が連続した際の動態パタン、単独形の連続から予測される結果との比較、調音結合的効果、などについても検討する。 日本語に関しては、前年度分析したアクセントの音響分析をさらに進めて、語の基本的アクセントパタンが、文発声、強調発声の条件の下でどのような変形を蒙るかを明らかにする。同時に、種々のピッチ周波数パタンのアクセント知覚実験を行い、アクセント感覚をもたらす要因と動態形式に関して研究を進める。インドネシア語では、文の情報構造、動詞連続、語順の異なり、重文の結合形式等が、ピッチパタンに与える影響を検討する。
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Causes of Carryover |
分担者の海外出張の旅費が当初予定していた額より安価に済んだため、5030円の差額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究に必要な消耗品類の購入に充てる。
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Research Products
(15 results)