2014 Fiscal Year Annual Research Report
日本語文難易度推定と音声合成による「やさしい日本語」作成補助システムの研究開発
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26284069
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 彰則 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70232428)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 和之 弘前大学, 人文学部, 教授 (40133912)
能勢 隆 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (90550591)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 異文化理解・異文化間コミュニケーション / やさしい日本語 / 文章作成支援 / 外国語学習 / 音声合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
今期は、次の研究を行った。 (1)外国人にとっての書き言葉の難しさの調査。まず、さまざまな難易度の文を用意し、さまざまな言語背景を持つ外国人にそれらの文を読んでもらい、主観的な難しさを評価させる。 (2)文の特徴と難易度の関係の調査。文の難易度に関係する特徴としては、文の長さや係り受けなどの文全体に関わる特徴、個々の単語の難しさ(例えば日本語能力検定の級)、文字種(漢字・ひらがな・カタカナ)などが考えられる。これらの特徴と、外国人が実際に感じた主観的な難しさの関係を調べ、どのような特徴が文の難易度推定に有効なのかを調査する。 (3) 日本語文を読み上げたときに、それが外国人にどの程度聞き取れて理解されるかのモデルを作成する。外国人による日本語の音声の聞き取りやすさには、言語的な難易度だけでなく、連続して発話する部分をどの程度の速度で読むか(話速)、単語や文節の間にどの程度の無音部分があるか(ポーズ長)などにも依存すると考えられる。そこで、これらの要因を変化させて聴取実験を行い、これらの要因と聞き取りやすさの関係を調べる。 (1)(2)の結果、文の特徴からその難易度を推定するモデルを作成することができた。さらに、これを既存の「やんしす」に組み込み、文全体の難易度を見ながら「やさしい日本語」文の作成ができるシステムを作成した。 (3)に関しては、20名前後の留学生を実験参加者として、さまざまな話速・ポーズの分に関する聴取実験を行い、聞き取りへの影響を調査した。その結果、文が十分やさしく構成されていれば、話速やポーズ位置・ポーズ長さは実際の聞き取りには影響しないことがわかった。同時に、音声の自然性や聞き取りやすさに関しては、360モーラ毎秒の話速で係り受け距離の大きいところのみにポーズを入れる条件がよかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実績の概要に記したとおり、当初計画に挙げた平成26年度分の研究計画はほぼ完了した。また、27年度以降の計画である「やんしす」の多種類プラットフォーム対応(Windows, Android, iOS)も一部完了しており、27年度も順調な研究遂行が見込まれる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究はおおむね研究計画通りに推移しているため、当初計画通りに研究を遂行する。 27年度は、「やんしす」の各種プラットフォームへの移植を行うとともに、音声合成機能の搭載に向けて、各種音声合成手法の検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
26年度に雇用した研究員の雇用時間が予定より少なかったために余剰が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
27年度は研究員をフルタイムで雇用するため、27年度予算と上記の次年度使用額を含めてほぼ全額を当初予定した物品費・旅費・人件費に利用する予定である。
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Research Products
(4 results)